コーブルク自由州

コーブルク自由州：短命に終わった自由州の歴史

コーブルク自由州（ドイツ語：Freistaat Coburg）は、1918年11月のドイツ革命によって、ザクセン＝コーブルク＝ゴータ公国が君主制を倒されたことで成立したドイツ国の自由州です。しかし、その歴史は長くなく、テューリンゲン諸邦の中で唯一テューリンゲン州への合邦に参加せず、1920年 7月1日にバイエルン自由州と合邦してその一部となり、消滅しました。

成立の背景

1918年11月のドイツ革命は、ザクセン＝コーブルク＝ゴータ公国にも大きな影響を与え、11月14日にはカール・エドゥアルト公が退位しました。この公国は元々、ザクセン＝コーブルク公国とザクセン＝ゴータ公国の同君連合であったため、それぞれ独自の議会と政府を持っていました。1919年2月9日にはコーブルク州制憲議会選挙が行われ、11人の議員が選出されました。選挙の結果、ドイツ社会民主党が58.6%の得票率で7議席を獲得し、ドイツ人民党、ドイツ民主党、コーブルク農民連盟が合わせて41.4%の得票率で4議席を獲得しました。州議会議長には社会民主党のエアハルト・キルヒナーが就任しました。

1919年 3月10日には、暫定憲法として「コーブルク自由州の立法および行政に関する暫定法」が採択されました。州評議会議長には元公国大臣で人民党のヘルマン・クアルクが就任し、閣僚たる州評議会議員にはフランツ・クリングラーおよびラインホルト・アルトマン（いずれも社会民主党）が選出され、三頭体制が採られました。1919年4月12日には「コーブルクおよびゴータ自由州の地域問題の管理に関する州条約」が調印され、1826年から続いていたコーブルクとゴータの連合が正式に解消されました。

しかし、州条約によって連合が解消されたものの、ドイツ国政府はコーブルク自由州を個別の州とは見なさず、あくまでザクセン＝コーブルク＝ゴータという国家連合の一部として扱いました。1919年6月7日にはカール・エドゥアルト公の退位に伴う補償について州議会との間で約定が結ばれました。

バイエルンとの合邦

州評議会は、コーブルク自由州が経済的に自立不可能であると考え、他の自由州との合邦を模索していました。そのため、1919年3月と5月に行われたテューリンゲン諸邦の合邦に関する会議に参加しましたが、5月の共同体条約には同意しませんでした。並行して、6月中旬からはバイエルン自由州、さらに7月からはプロイセン自由州とも交渉が行われました。プロイセン自由州はプロイセンと同化する条件で合邦を受け入れると発表しましたが、バイエルン自由州はより寛容で、特にコーブルクの文化遺産の保存について、テューリンゲン州とは対照的に多くの点で譲歩する姿勢を見せました。

自由州の帰属は、1919年 11月30日に行われたドイツ史上初の民主的な住民投票に委ねられました。「コーブルクはテューリンゲン共同体条約に参加すべきか？」を問う住民投票には有権者の75%にあたる26,102人が投票し、そのうち88.11%が「参加すべきでない」と答えました。この結果、コーブルク自由州はバイエルン自由州と合邦することになりました。

この背景には、コーブルクの住民が歴史的にテューリンゲン諸邦よりもフランケン地方との繋がりが強かったこと、第一次世界大戦中にコーブルクが他のテューリンゲン諸邦に食糧を供出させられる立場だったこと、バイエルン自由州が合邦の条件について極めて寛容な態度を示したことなどが影響しています。

合邦後の影響

コーブルクとバイエルンの関係を規定する州間条約は1920年2月14日に調印され、コーブルクは州立財団、農林業職業組合、商工会議所、手工業会議所、州立病院、州立劇場について存続の保証を取り付けました。さらに、コーブルクは州政府の廃止の補償として、ラント裁判所を置くことを認められました。バイエルン自由州は州立劇場の赤字の最大40%、州立病院については最大75%を負担することを約束しました。

1920年 7月1日、コーブルク自由州はバイエルン自由州と統合し、約600年にわたるコーブルクの独立は終わりを告げました。州間条約により、コーブルク自由州はオーバーフランケン行政管区の郡となりました。また、ケーニヒスベルク・イン・バイエルンの他、周辺地域はウンターフランケン行政管区に編入されました。

バイエルン自由州との合邦は、第二次世界大戦後に予想もしなかった結果をもたらしました。旧コーブルク自由州はバイエルン自由州の一部としてアメリカ占領地域となり、一方のテューリンゲン州はソ連占領地域となったため、テューリンゲン諸邦は分断されることになったのです。

コーブルク自由州は短命でしたが、その歴史は地域のアイデンティティや政治的選択が、その後の歴史に大きな影響を与えることを示しています。

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