テラ (キングダム ハーツ)

テラ (Terra)

テラは、スクウェア・エニックス制作のコンピュータゲーム『キングダム ハーツ』シリーズに登場する架空の人物です。シリーズの過去を描く上で中心的な役割を担うキャラクターであり、特に『キングダム ハーツ バース バイ スリープ』では主要な主人公の一人として描かれます。日本版での声優は置鮎龍太郎が担当し、北米版ではジェイソン・ドーリングが声をあてています。

彼はマスター・エラクゥスの三人の弟子の一人として、師の拠点である「旅立ちの地」で厳しい修行を重ねるキーブレード使いです。初期の頃は「アースシェイカー」というキーブレードを愛用していましたが、物語の終盤では「ガイアベイン」を使用する場面も見られます。テラの最大の夢は、師と同じくキーブレードマスターの称号を得ることであり、それは彼の親友であるアクアやヴェントゥスもまた共に抱く目標でした。普段は落ち着いた物腰で、真面目で実直な性格の持ち主ですが、その内には強い正義感と熱い心を秘めた青年です。しかし、その純粋さが故に騙されやすい一面があり、師エラクゥスからは闇に心を捕らわれやすいことを危惧されていました。大切な友を守りたいという強い思いから、彼は力を追い求める傾向が強く、エラクゥスの光を絶対視する教えや、親友たちの強い光の心との対比から、彼の心の闇は次第に顕在化していきます。闇の誘惑に幾度も直面しながらも、彼は心の闇を制するための方法を模索し続けます。

シリーズ作品における軌跡

『キングダム ハーツ バース バイ スリープ』では、テラは主人公として物語を牽引します。キーブレードマスターの資格試験では、アクアとの模擬戦で追い詰められた際に意図せず闇の力を発動させてしまい、心の闇を制御できていないと判断され落選します。失意の中、突如現れたマスター・ゼアノートに言葉をかけられた後、ゼアノートが失踪。テラはゼアノートの捜索と、世界を跋扈するアンヴァース討伐の任務に就きます。

旅の途中、マレフィセントをはじめとする闇の勢力からの干渉を受け苦難を経験します。また、アンヴァースの背後にいる仮面の少年ヴァニタスの存在を知り、その調査を進める中でアクア、ヴェントゥスと再会を果たします。しかし、闇に近づきすぎているとアクアから指摘されたことで、テラはショックを受け、その場を後にします。

再び一人となった後、ブライグに捕らわれていたマスター・ゼアノートを救出する際に憎しみに囚われ闇の力を行使してしまい、茫然自失となります。しかし、マスター・ゼアノートからはキーブレードマスターとして認められ、ヴァニタスを追って再び旅立ちます。偶然たどり着いたデスティニーアイランドでは、幼いソラとリクに出会います。守るべき存在のために強くなりたいと願うリクの資質を見抜き、「継承の儀」を執り行い、自らも改めて守るべき者のために戦う決意を新たにします。

その後、マスター・ゼアノートの導きにより、師エラクゥスがヴェントゥスを消滅させようとする瞬間を目撃。二人の間に割って入り、ヴェントゥスを異空間へ逃がすと、師を守るために闇の力を解放し交戦します。激しい戦いの末に辛うじて勝利し和解しますが、その直後、マスター・ゼアノートにエラクゥスがトドメを刺され消滅します。この時、テラはこれまでの出来事が全てゼアノートの策略であったことを悟り、自らの過ちを正すためキーブレード墓場へと向かいます。

キーブレード墓場での最終決戦でマスター・ゼアノートを追い詰めますが、その過程で憤怒から生まれた心の闇を完全に解放してしまいます。その心の闇を利用され、テラの肉体はマスター・ゼアノートに乗っ取られ、「テラ＝ゼアノート」が誕生します。しかし、テラの思念は彼の鎧に宿り、「留まりし思念」として自身の身体を奪ったテラ＝ゼアノートを執念で撃破します。χブレード消滅の衝撃で多くの者が別の世界へ飛ばされる中、思念の宿った鎧は荒野に残り、以後「留まりし思念」として墓場に留まります。

一方、マスター・ゼアノートに体を乗っ取られたテラの肉体はレイディアントガーデンに飛ばされます。そこでテラ＝ゼアノートは、テラの心を呼び戻そうとするアクアと激突。ゼアノートの心の中に残っていたテラの心が徐々に抵抗を試みますが、ゼアノートがテラの心を追い出すために自らの体をキーブレードで貫いたことで、テラの肉体は闇の世界へ落ちてしまいます。しかし、テラを救おうと闇へ飛び込んだアクアが、自らと引き換えに鎧とキーブレードを用いてテラを救い出したことで、テラの肉体は光の世界へと帰還を果たします。

テラ＝ゼアノートは、最終的にテラとしての記憶もマスター・ゼアノートとしての記憶も失い、倒れていたところを賢者アンセムに拾われ、その弟子となります。後に『Re:coded』のシークレットムービーでは、記憶を失った彼の心の中で、マスター・ゼアノートとテラの心が主導権を争っている様子が描かれ、テラ自身が「他者の心」を宿していること、そして目的を果たすためには闇に囚われようとも犠牲を厭わない覚悟を語っています。

『キングダム ハーツII ファイナルミックス』では、『BbS』に先行して留まりし思念が登場。成長したソラを見て、キーブレードの継承者であるリクではなくソラがキーブレードを手にしていたことに疑念を抱き、ソラたちをゼアノートの関係者と誤解して襲いかかります。戦闘後、ソラの中にヴェントゥスの気配を感じ取り、その場に停止します。

『キングダム ハーツ コーデッド』および『Re:coded』では、データのソラの中に「痛みの記憶」としてヴェントゥスやアクアと共に登場します。データのソラは彼らに対して「会ったことがある気がする」と感じており、テラたちのことをかすかに覚えている様子が示唆されます。また、『Re:coded』では、ゼアノートの復活とそれに伴うテラの帰還が示唆されますが、王様やイェン・シッドはテラの具体的な行方を掴めていませんでした。

『キングダム ハーツ 0.2 バース バイ スリープ -フラグメンタリー パッセージ-』では、闇の世界をさまようアクアの前に幻影として姿を見せます。アクアの意識に引き寄せられ、ヴェントゥスと共に闇の世界で実体を得ますが、その心の中では未だゼアノートと主導権争いを続けており、遂にはゼアノートの人格が表出し、アクアたちを襲おうとします。テラの心がゼアノートを抑え込もうとする攻防の中、アクアとヴェントゥスは闇へ引きずり込まれてしまいます。

『キングダム ハーツIII』にて、テラはキーブレード墓場にテラ＝ゼアノートとして出現し、真XIII機関の一員としてソラたちの前に立ちはだかります。ヴェントゥスらを撃破するものの、ドナルドの放った「ゼタフレア」を受け倒されます。これによりソラたちは闇に呑まれ敗北しますが、時間が巻き戻された世界では、ヴェントゥスを襲おうとした際に留まりし思念に阻止されます。戦いの中で、テラの心が過去のハートレスに封じられていたことが判明し、ソラの協力により肉体を取り戻し、ヴェントゥス、アクアとの再会を果たします。ソラとマスター・ゼアノートの最終決戦後、テラは自身の心に封じられていた師エラクゥスの心を解放し、エラクゥスがマスター・ゼアノートを説得しχブレードを渡させます。消滅するエラクゥスから、テラはアクアとヴェントゥスのことを託されます。最終的に、戦いの1年後、テラは旅立ちの地でリクと再会し、共にソラを探すため、アクア、ヴェントゥスと共に闇の世界へと旅立ちます。

能力と戦闘スタイル

テラは、キーブレード使いとして力強い戦闘を得意とするパワータイプです。『キングダム ハーツII ファイナルミックス』で隠しボスとして登場する留まりし思念は、シリーズでも屈指の強さを誇り、キーブレードを変形させて攻撃します。『バース バイ スリープ』における彼の戦闘スタイルは、大きなキーブレードを振り回して敵を薙ぎ払う豪快さが特徴です。一つ一つの行動にはやや隙がありますが、その分一撃の威力は絶大です。使用する技や魔法も、彼のパワフルな特性に合ったものが多く、特に三人の中で唯一「ダーク」の名を冠する闇の力を操る技を使用できます。

主な使用キーブレード

ガイアベイン: 留まりし思念が使用するキーブレード。BbSの終盤でも一時的に装備します。
アースシェイカー: BbSにおけるテラの初期キーブレード。テラ専用であり、ガイアベインに似た形状ですが一回り小さいです。
カオスリーパー: テラ専用キーブレードの一つ。大型で禍々しい外観を持ち、魔法力は劣りますがBbSのキーブレードの中でも攻撃力が非常に高いです。
ダークバイター: テラ専用キーブレードの一つ。暗い色調の外見をしています。
アルテマウェポン: BbSに登場するアルテマウェポン。テラ、ヴェントゥス、アクアの三人が使用可能で、過去作のアルテマウェポンとは異なるデザインです。BbSのキーブレードの中でも上位の性能を持ちます。

専用コマンドスタイル

フェイタルモード: テラが最初に習得するパワー重視のスタイル。
ロックブレイカー: 大地の力を解放するコマンドスタイル。
ダークインパルス: 闇の力を解放するコマンドスタイル。

専用シュートロックコマンド

ソニックシャドウ: 影を纏い、闇に紛れて連続突進する技。序盤から使用できます。
ブラックボレー: 小さな闇の弾を多数生成し、敵へ放つ技。マスター・ゼアノートも類似の技を使用します。
* アルテマキャノン: テラが習得できる最強のシュートロック。キーブレードを巨大な大砲に変形させ、広範囲に継続ダメージを与える光弾を放ちます。留まりし思念もこの技を使用します。

テラの物語は、光と闇、友情と裏切り、そして自己犠牲といったシリーズの根幹に関わるテーマを体現しており、彼の経験はソラたちの世代へと深く影響を与えています。

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