テランR

テランR

テランR（Terran R）は、アメリカ合衆国の宇宙開発企業、レラティビティ・スペースが開発を進めている大型の二段式ローンチ・ヴィークルです。その最大の特徴は、機体製造に革新的な金属3Dプリント技術を大規模に採用している点と、第一段の再使用能力を備えることを大きな特徴とします。これにより、高頻度かつ低コストでの宇宙輸送実現を目指し、大型ロケット市場への参入を目指します。

開発経緯と設計の変遷

テランRの計画は、レラティビティ・スペースが6億5千万ドルという多額の資金調達に成功した後の2021年6月8日に公表されました。この初期構想では、テランRは先行する小型ロケット「テラン1」の発展型であり、機体全体の完全再使用を目指すという野心的な目標でした。当時の再使用構成での低軌道（LEO）への打ち上げ能力は20,000 kgとされていました。

しかし、2023年4月12日のテラン1初飛行後、レラティビティ・スペースのティム・エリスCEOはテラン1の開発中止とテランRへのリソース集中を発表。この方針転換に伴い、テランRの設計も変更され、機体の再使用は第一段のみに限定。第二段およびペイロードフェアリングは使い捨ての設計とされました。これは、より早期の実用化と打ち上げ能力の最大化を目指したものと考えられます。

機体の特徴と性能

テランRは、その先進的な技術と高い性能によって特徴づけられます。

製造技術: ロケット構造体の大部分は、独自の大型金属3Dプリンター「Stargate」を用いて製造。部品点数の削減や製造期間の短縮、コスト効率の向上が期待されます。
エンジン: 第一段には合計13基のAeon Rエンジンを搭載し、打ち上げ時に約14.9 MNの総推進力。第二段には真空に特化したAeon R Vacエンジンを1基搭載します。
* 再使用性: 第一段はミッション完了後に地球へ帰還し、垂直着陸による回収・再使用が可能です。

設計変更後の打ち上げ能力は大幅に向上しました。第一段再使用の場合、LEOへ最大23,500 kg、第一段使い捨てでは33,500 kgのペイロードを輸送可能です。ティム・エリスCEOは、この能力が既存の大型ロケット、特にスペースX社のファルコン9を凌駕することを目指していると述べています。

初飛行計画

テランRの最初の打ち上げは、2026年に予定されています。この初飛行ミッションでは、インパルス・スペース社のペイロードを火星へ輸送する計画が発表されています。これは、テランRが深宇宙への輸送能力も持つことを示す重要なミッションです。

テランRは、その革新的な製造プロセスと高い性能により、今後の宇宙輸送サービスにおいて注目される存在です。2026年の初飛行に向け、開発が進行中です。

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