テリー・ジョーンズ

テリー・ジョーンズ：コメディ、映画、歴史を彩った多才な人物

テレンス・グレアム・パリー・“テリー”・ジョーンズ（1942年2月1日 - 2020年1月21日）は、イギリスのコメディアン、映画監督、作家、そして歴史学者として、幅広い分野で才能を発揮しました。彼は、イギリスを代表するコメディグループ、モンティ・パイソンのメンバーとして最もよく知られています。

生い立ちと初期のキャリア

ジョーンズは北部ウェールズで生まれ、その後、父親の仕事の関係でサリー州で育ちました。10代の頃はラグビーに熱中し、オックスフォード大学セント・エドモンド・ホール・カレッジに進学して英語学とイギリスの歴史を学びました。大学では演劇にも取り組み、コメディサークル「オックスフォード・レビュー」に所属し、エディンバラ・フェスティバルでの公演を成功させるなど、実績を積みました。このサークルで、後にモンティ・パイソンのメンバーとなるマイケル・ペイリンと出会い、共にスケッチを執筆するようになりました。

大学卒業後、ジョーンズはコメディライター兼役者として活動を始め、イギリスの歴史をパロディ化したコメディ番組『ザ・コンプリート・アンド・アッター・ヒストリー・オブ・ブリテン』や、マイケル・ペイリンやエリック・アイドルらと共演した子供向け番組『ドゥ・ノット・アジャスト・ユア・セット』などに参加しました。また、『ザ・フロスト・レポート』をはじめとするデービッド・フロストの番組にもライターとして参加し、1968年には音楽ディレクターのバリー・ブースのために楽曲を作詞するなど、多岐にわたる活動を行いました。

モンティ・パイソンでの活躍

1969年、ジョーンズは他の5人のメンバーと共にモンティ・パイソンを結成し、その後のコメディ界に大きな影響を与えることになります。彼らの代表作である『空飛ぶモンティ・パイソン』では、ジョーンズは番組の特徴である「オチを排した展開」を提案し、新しいスタイルのコメディを確立しました。マイケル・ペイリンと共に執筆したスケッチは、ビジュアルに訴える作風が多く、シュールさを前面に押し出したものが少なくありません。また、役者としては、貴族の男性から庶民の老婦人まで、幅広いキャラクターを特徴的に演じ、特に「ペッパー・ポット」と呼ばれるキンキン声のオバサン役は、ジョーンズのはまり役となりました。スケッチでは服を脱いで裸となることも多く、中でも第3シリーズのオープニングに登場した「裸のオルガン奏者」は、彼の代表的なキャラクターとして知られています。

ジョーンズは演出にも強い関心を持ち、テレビシリーズではメンバーの中で最後までテレビ局に残り、編集などの指示を行っていました。テレビシリーズ終了後の映画では、全作品で監督を務め（『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』ではテリー・ギリアムと共同監督）、その才能を発揮しました。

モンティ・パイソン後の活動

モンティ・パイソンの活動終了後も、ジョーンズは作家・脚本家として活動を続け、『リッピング・ヤーン』ではペイリンと共同で台本を執筆したほか、『ラビリンス/魔王の迷宮|ラビリンス_魔王の迷宮』などの映画の脚本も手掛けました。また、映画監督としても、『エリック・ザ・バイキング/バルハラへの航海|エリック・ザ・バイキング_バルハラへの航海』や『たのしい川べ』など、自身の小説の映画化作品を演出しました。

コメディ作家としての活動から離れた後は、主に歴史学者として活動し、ジェフリー・チョーサーの研究では学術分野でも高い評価を得ました。大学の講義で使用される教科書『チョーサーズ・ナイト』を執筆するなど、その研究成果は広く認められています。また、十字軍の研究でも知られており、BBCのドキュメンタリー番組『クルセイダーズ』の制作などを手掛けました。近年は、新聞での政治的・社会的論評のほか、子供向けの絵本や小説の執筆活動にも力を入れていました。

晩年と死

2006年には初期の腸がんであることが公表されましたが、手術の結果、状態は良好であると報告されました。しかし、2016年には前頭側頭型認知症による原発性進行性失語と診断され、晩年は病との闘いとなりました。2020年1月21日、77歳で亡くなりました。

私生活

ジョーンズは1970年に生化学者のアリソン・テルファーと結婚し、2人の子供をもうけました。2012年にテルファーと離婚し、41歳年下のスウェーデン人女性アナ・ソダーストロムと再婚し、彼女との間にも子供を1人もうけました。

テリー・ジョーンズは、その多才な才能と創造性によって、コメディ、映画、歴史研究の分野に大きな足跡を残しました。彼の作品は、これからも多くの人々に愛され、影響を与え続けることでしょう。

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