テルグ語映画

テルグ語映画産業：トリウッドの軌跡

インド南部のテランガーナ州を拠点とするテルグ語映画産業は、「トリウッド」の愛称で知られ、ボリウッドに次ぐ規模を誇る一大エンターテインメント産業です。その歴史は古く、1909年にはラグパティ・ヴェンカイアー・ナイドゥが短編映画を製作し、1921年には初のテルグ語サイレント映画『Bhishma Pratigna』を世に送り出しました。この功績から、ナイドゥは「テルグ語映画の父」と呼ばれています。

テルグ語映画の黎明期と発展

初期のテルグ語映画は、サイレント映画からスタートしました。その後、1931年9月15日、南インド初のトーキー映画『Bhakta Prahlada』が公開され、この日は「テルグ語映画の日」として記念されています。トーキー映画の登場は、テルグ語映画の大衆化を加速させ、1934年の『Lava kusa』の大ヒットは、その勃興期における大きな転換点となりました。

その後、映画の内容は宗教的・神話的なテーマから、社会問題や人々の生活、風習といった現実的な題材へと徐々にシフトしていきました。独立スタジオの設立や俳優との専属契約といった産業構造の変化、そして第二次世界大戦による影響なども経て、テルグ語映画は着実に発展を遂げます。1951年製作の『Pathala Bhairavi』はインド国際映画祭で上映され、高い評価を受けました。

産業構造の変遷とハイデラバードへの集積

当初、マドラス（現チェンナイ）がテルグ語映画の中心地でしたが、アッキネーニ・ナゲシュワラ・ラオやN・T・ラーマ・ラオといった著名な俳優らの尽力もあり、1980年代後半から1990年代初頭にかけてハイデラバードへと産業の中心が移行しました。ハイデラバードにはラモジ・フィルムシティという世界最大規模の映画スタジオも存在し、テルグ語映画産業の隆盛を支えています。

テルグ語映画の技術革新と国際的な成功

テルグ語映画は、デジタル技術や特殊効果の導入により、技術水準の向上を遂げました。これにより、『マガディーラ 勇者転生』『バーフバリ 伝説誕生』『バーフバリ 王の凱旋』といった、VFXを駆使した大作が誕生し、インド国内のみならず海外市場でも大きな成功を収めるようになりました。特に『バーフバリ』シリーズは、インド映画として初めてサターンインターナショナル映画賞を受賞するなど、国際的な評価も得ています。

テルグ語映画を彩る才能豊かな人材

テルグ語映画界には、数多くの才能豊かな人材が輩出されてきました。

俳優：チットゥール・V・ナガイアー、アッキネーニ・ナゲシュワラ・ラオ、N・T・ラーマ・ラオ、サヴィトリ、そして現代のスター俳優まで、数々のスターが輝きを放ってきました。

監督：ダサリ・ナーラーヤナ・ラーオ、K・ラーガヴェンドラ・ラーウ、シンギータム・シュリニヴァサ・ラオ、ラーム・ゴーパール・ヴァルマらは、それぞれの持ち味で作品を制作し、テルグ映画界に貢献しました。

作曲家・歌手：S・P・バルサブラーマニヤム、P・スシーラら、数々の名曲を世に送り出した作曲家や歌手たちも、テルグ語映画の大きな魅力となっています。

国際的な評価と受賞歴

テルグ語映画は、国内だけでなく、国際的な映画祭でも高い評価を得ています。数々の作品が、カンヌ国際映画祭、モスクワ国際映画祭、アジア太平洋映画祭など、世界各国の映画祭で上映され、賞を受賞しています。『Pathala Bhairavi』『Nartanasala』『Sankarabharanam』といった作品は、特に高い評価を得ています。また、ナンディ賞など、テルグ語映画界独自の映画賞も存在し、映画発展に貢献しています。

結び

テルグ語映画は、その歴史、技術革新、そして国際的な成功を通して、インド映画産業における重要な役割を果たしています。今後も、新たな才能や技術革新によって、さらに発展し、世界中にその魅力を届けていくことでしょう。

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