テランガーナ州

テランガーナ州は、インドのデカン高原に位置する州で、2014年6月2日にアーンドラ・プラデーシュ州から分離・独立し、インドで29番目の州として成立しました。州の主要な都市はハイデラバードであり、2024年まではアーンドラ・プラデーシュ州の州都も兼ねていました。

歴史的背景

テランガーナ地方は、クリシュナ川とゴーダーヴァリ川という二つの大河に恵まれており、古くから多くの王朝や王国の根拠地となってきました。サータヴァーハナ朝、バフマニー朝、レッディ王国、ゴールコンダ王国、ニザーム王国などが、この地を拠点として繁栄しました。これらの歴史的な背景が、テランガーナの文化や社会に大きな影響を与えています。

1947年のインドとパキスタンの分離独立時には、ニザーム王国が一時的に独立を選びましたが、翌年のポロ作戦によってインドに統合され、ハイデラバード州となりました。1950年代には、言語による州の再編が行われ、ハイデラバード州のうちテルグ語を話す地域がアーンドラ州と統合され、1956年にアーンドラ・プラデーシュ州が成立しました。しかし、両地域は歴史的な背景や文化が異なり、テランガーナ地方では分離運動が長年続けられてきました。

長年の分離運動を経て、2014年にテランガーナ州はアーンドラ・プラデーシュ州から分離し、独立した州となりました。この分離は、テランガーナの人々の長年の願いが叶った結果であり、インドの政治地図に新たな変化をもたらしました。

地理と気候

テランガーナ州はデカン高原の一部を占めており、内陸性気候のため、夏は非常に高温になります。特に乾期には気温が上昇し、貧困層を中心に熱中症による死者が多く発生する深刻な問題となっています。2015年5月には、過去20年間で最悪の熱波に見舞われ、隣接するアーンドラ・プラデーシュ州と合わせて1,800人以上もの死者を出しました。このような気候条件は、テランガーナの社会や経済に大きな影響を与えています。

地方行政区分

テランガーナ州は、以下の10の県で構成されています。

アーディラーバード県
ハイダラーバード県
カリームナガル県
カンマン県
マフブーブナガル県
メダック県
ナルゴンダ県
ニザーマーバード県
ランガーレッディ県
ワランガル県

これらの県は、それぞれが異なる歴史や文化を持ち、テランガーナ州の多様性を構成しています。

経済

テランガーナ州の経済規模はインド国内で7位であり、州内総生産は13兆2,500億ルピー（約1,700億米ドル）に達します。一人当たりのGSDPも32万ルピー（約4,000米ドル）と、高い水準を維持しています。経済成長は、ITソフトウェア、工業、サービス業が牽引しており、特にIT産業はハイデラバードを中心に急速に発展しています。また、州内には、Bharat Dynamics Limited、Defence Metallurgical Research Laboratory、Defense Research and Development Organization、Defence Research and Development Laboratoryなど、多くの防衛・航空分野の研究機関が集積しており、これらの機関が経済成長を支えています。

まとめ

テランガーナ州は、歴史的な背景、地理的な特徴、経済的な強みなど、多くの側面でインドの中でも特筆すべき州です。過去の分離運動から独立した経緯を持ち、経済成長を遂げる一方で、気候変動による影響にも対応しなければならないという課題も抱えています。今後の発展が期待される地域です。

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