テルマ・ファーネス

テルマ・ファーネス（1904年8月23日 - 1970年1月29日）は、ファーネス子爵夫人として知られる人物です。旧姓はテルマ・モーガンで、イギリス国王エドワード8世の愛人であったことでも有名です。

生い立ちと家族
テルマは、スイスのルツェルンで一卵性双生児の姉として誕生しました。父はアメリカの外交官ハリー・ヘイズ・モーガン、母はアイルランド系アメリカ人とチリ人の血を引くローラ・デルフィン・キルパトリックです。祖母はサンティアゴ大司教の姪にあたるルイーザでした。彼女には、双子の妹グロリア・モーガン・ヴァンダービルト（デザイナーのグロリア・ヴァンダービルトの母）、妹コンスエロ、弟ハリー・ジュニアがいました。

幼い頃から、テルマと双子の妹は美しさで評判となり、数多くの写真が残されています。1922年、彼女はジェームズ・コンヴァースとワシントンD.C.で結婚しました。ジェームズは、AT&Tの社長セオドア・ヴァイルの孫にあたる人物でした。この結婚により、テルマは夫の財力を背景に、映画製作会社「テルマ・モーガン・ピクチャーズ」を設立し、自ら主演した映画を制作しましたが、残念ながらヒットには至りませんでした。記録によると、彼女は3本の映画に脇役として出演しています。1925年、彼女は最初の結婚に終止符を打ち、離婚しました。

二度目の結婚と子爵夫人としての生活
1926年、テルマは2度目の結婚をします。相手は、21歳年上のイギリス貴族、初代ファーネス子爵マーマデューク・ファーネスでした。マーマデュークは海運会社「ファーネス・ウィジー」のオーナーであり、テルマは彼の2番目の妻となりました。7年間の結婚生活の中で、彼らの間には一人息子、アントニ・ウィリアム・ファーネス（後の第2代ファーネス子爵）が生まれました。離婚後も、イギリス貴族の女性は再婚しない限り爵位を保持できるという慣習に従い、彼女はその後も「ファーネス子爵夫人テルマ」として知られることになりました。

晩年と回顧録
晩年、テルマは妹グロリアと共に、「ダブル・エクスポージャー」という題名の回顧録を発表し、世間を驚かせました。この回顧録では、彼女たちの赤裸々な男性遍歴が語られ、大きな話題を呼びました。

テルマは、妹グロリアと共に、カリフォルニア州カルヴァー・シティーのホーリー・クロス墓地に永眠しています。彼女の生涯は、美貌と富、そして愛と波乱に満ちたものでした。

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