テル・ミー・ホワット・ユー・シー

テル・ミー・ホワット・ユー・シー：ビートルズの知られざるポップ・チューン

1965年、ビートルズによって世に送り出された楽曲「テル・ミー・ホワット・ユー・シー」。同年に発売されたアルバム『ビートルズVI』（アメリカ）と『ヘルプ!』（イギリス）に収録され、日本ではシングル『恋のアドバイス』のB面としても親しまれました。

作曲とインスピレーション

レノン＝マッカートニー名義の作品ですが、実際の作曲者については、ポール・マッカートニー自身も曖昧な記憶しかなく、ジョン・レノンはポールが作曲したと証言しています。10代の恋心をテーマにした、ビートルズ最後の楽曲の一つと言われています。シンプルなメロディーと歌詞は、ジェーン・アッシャーへの想いを込めたものだと解釈する向きもあります。

興味深いのは、2番の歌詞にある「Big and black the clouds may be, time will pass away」というフレーズ。これは、レノンが幼少期を過ごした家の宗教碑文からの引用であるとされています。歌詞には、過ぎ去る時間と希望が繊細に織り込まれているのです。

レコーディングと参加メンバー

レコーディングは1965年2月18日、EMIスタジオ2にて行われました。プロデューサーはジョージ・マーティン、エンジニアはノーマン・スミスとケン・スコットが担当。「悲しみはぶっとばせ」や「イフ・ユーヴ・ガット・トラブル」といった楽曲のレコーディングの後、その日の最後を飾るようにして完成しました。

楽曲はエレクトリックピアノを効果的に使用したポップ・チューンに仕上がっています。演奏陣は、リードボーカルとベース、エレクトリックピアノを担当したポール・マッカートニー、ハーモニーボーカル、リズムギター、タンバリンのジョン・レノン、ギロのジョージ・ハリスン、ドラム、クラベス、マラカスのリンゴ・スターといった面々です。

評価とその後

批評家の評価は様々ですが、ビル・ワイマンはビートルズの楽曲213曲中210位と低く評価し、『ヘルプ!』のアルバムの裏面に無理やり収録された楽曲と酷評しました。しかしながら、そのシンプルなメロディーと歌詞、そして10代の瑞々しい感性が、逆に多くのリスナーに親しまれてきました。

「テル・ミー・ホワット・ユー・シー」は、R・スティーヴィー・ムーアなど、多くのアーティストによってカバーされています。アルバム『Man of the Year Volume 4』(1986年)に収録されたバージョンはその代表例です。

まとめ

「テル・ミー・ホワット・ユー・シー」は、ビートルズの膨大なディスコグラフィの中でも、比較的マイナーな存在と言えるかもしれません。しかし、その素朴な魅力と、レノンとマッカートニーの作曲秘話、そしてレコーディング時のエピソードを知ることで、この楽曲への理解は深まるでしょう。ビートルズの隠れた名曲として、改めて聴き直してみる価値のある一曲です。

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