テレビカー

テレビカーとは

テレビカーとは、内部にテレビ受像機が設置された鉄道車両のことを指し、主に京阪電気鉄道にて広く知られています。他の鉄道会社でも類似の車両が存在しますが、京阪のテレビカーは特に有名です。なお、「テレビカー」という名称は京阪ホールディングスの登録商標であり、無許可での使用は禁じられています。

京阪電気鉄道のテレビカーの歴史

京阪電気鉄道では、特急料金などの追加料金が不要である特急車両にテレビが設置されており、その歴史は1954年に遡ります。当初は1800系で白黒テレビの設置が始まり、車両の側面に「テレビカー」と朱色の大きな文字で表示されました。続く1810系および1900系にも同様の設備があり、特に中間車にもテレビが設置されたことが特徴です。

1971年には初代3000系が導入され、ここからカラーテレビの設置が行われました。初代3000系では、テレビのある車両は京都方の制御車に限られていましたが、いくつかの編成には複数のテレビカーが組み込まれるようになりました。特に1989年に新たに登場した8000系では、1編成に対して中間車1両のみの設置となり、表示方法も変更されました。

1990年代に入ると、初代3000系の廃車が進み、残った1編成は1995年に改修が行われ、テレビ設置車両が8000系に合わせて変更されました。そして2008年6月に形式変更により、8000系の30番台とされました。

テレビカーの終焉

2008年以降、全編成の内外装変更に伴い「テレビカー」のロゴも新しくされました。その後、2009年には「時代の変化」に応じてテレビの撤去が発表され、2011年に予定通りに撤去が進められました。最終的には、残った30番台1編成も2013年に営業を終了し、京阪電気鉄道のテレビカーは運行を終えました。

テレビ搭載設備の変化

初期のテレビカーはアンテナ操作が必要でしたが、ダイバーシティ方式の導入によってその必要はなくなりました。アナログ放送を受信していた当時は、電波の受信状況が悪い区間もありました。1992年以降には、BSアンテナも設置され、主にNHK衛星アナログ放送を視聴していました。

残念ながら、2011年にはアナログ放送が終了し、それに先立ち地上デジタル放送への対応も進められました。また、液晶テレビも導入され、時代のニーズに応える形で進化していきました。テレビ機器のメーカーとしては、第一に松下電器が名を馳せ、最終的には三菱電機製の「REAL」が最後の使用機材となりました。

他社のテレビカー

京阪のほかにも、京成電鉄が1954年に日本で初めてテレビを設置した車両を運行し、近畿日本鉄道でもカラーテレビを搭載した試験が行われました。さらにJR各社や小田急電鉄でも過去にテレビを装備した車両が運営された形跡があり、テレビカーの概念は広がりを見せました。

その他の事例

富山地方鉄道や筑豊電気鉄道などでも、テレビ設備が導入されており、特に富山地方鉄道では公共交通機関におけるハイビジョン受信のデモが行われたり、特急用車両での映像放映が試みられたりしました。

特に近年は、デジタル化の進行に伴い、ワンセグ放送や地上デジタル放送の受信が注目され、特定の地域では独自のサービスが展開されていました。これらの多様な試みが、鉄道でのエンターテイメントを多彩にしています。

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