テロリスト監禁センター

テロリスト監禁センター（CECOT）

エルサルバドルのテロリスト監禁センターは、主にギャング構成員を収容するために建設された刑務所です。英語名のTerrorism Confinement Centerの頭文字を取り、CECOTとも呼ばれます。

設立の背景

2010年代、エルサルバドルではマラ・サルバトルチャなどのギャング（マラス）が勢力を拡大し、抗争が激化しました。これにより、一般市民が巻き込まれる事件が多発し、2015年には殺人発生率が世界最高水準に達しました。このような状況を受け、2019年に就任したナジブ・ブケレ大統領は、治安回復を最優先課題と位置づけ、ギャングをテロリストとみなし、徹底的な取り締まりを始めました。

既存の刑務所はすぐに収容能力を超過し、定員の3倍に達するほどでした。そのため、政府は2023年までに中部テコルカに新たな刑務所、テロリスト監禁センターを建設しました。166ヘクタールの広大な敷地には、4万人を収容できる規模を誇り、600人の兵士と250人の警察官が警備にあたっています。

施設とセキュリティ

テロリスト監禁センターは、脱獄防止のために厳重なセキュリティ体制が敷かれています。施設内では携帯電話の電波を遮断する通信妨害装置が導入され、受刑者間の連絡を不可能にしています。また、頑丈な鋼鉄製の独房、周囲を囲む高い壁、19の監視塔、電気柵、パトロールエリアなど、多重の防壁が設けられています。

収容環境

刑務所内の環境は極めて劣悪です。雑居房は100人以上が収容されることを前提として設計されていますが、室内には洗面台とトイレが2つずつしかありません。ベッドは金属製で80人分しか用意されておらず、マットレスやシーツは支給されていません。受刑者は全員丸刈りにされ、白いTシャツのみが与えられます。食事は、抗争を避けるためにフォークなどの食器は禁止されており、プラスチック容器から手づかみで食べることを強いられます。

矯正プログラムと外部との接触

テロリスト監禁センターは、受刑者の社会復帰を目的としていません。そのため、矯正教育プログラムは一切存在しません。家族との面会はもちろん、外部との接触は一切禁止されています。この施設は、ギャング構成員を社会から隔離することを最優先として運営されています。

まとめ

テロリスト監禁センターは、エルサルバドルの治安回復に向けた強硬策の象徴です。劣悪な環境での収容は、人権上の問題を指摘する声も上がっています。しかし、ブケレ政権は、国民の安全を守るためには致し方ないとして、これらの措置を正当化しています。

この施設は、ギャング犯罪に対するエルサルバドル政府の断固たる姿勢を示す一方で、その運営方法については国内外から多くの批判も浴びています。今後の動向が注視されています。

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