テロ支援国家

テロ支援国家についての概要

「テロ支援国家」とは、アメリカ合衆国の政府がテロ行為を行ったり、テロリストに関連していると評価した国家を指します。この概念は、1979年12月29日に初めて制定され、その後数度にわたり更新されています。指定においては、アメリカ合衆国法典第50編2405条に基づき、国務省が行うことになっています。

アメリカの対策

アメリカ合衆国は多岐にわたる対テロ対策を実施していますが、その一環としてテロ支援国家の指定が行われています。この指定を受けた国々は、アメリカ政府の経済制裁を受けることになります。具体的には、武器の輸出入を含む禁輸措置が課され、経済援助なども制限されます。また、国際金融機関による融資にもアメリカ政府の反対が影響し、実質的にその資金を得ることが難しくなります。

1990年代以降、アメリカ政府は国際テロリズムに関する定義を法典第22編2656f条において示しています。この法律に基づき、国務省はテロ支援国家に関する情報の調査や年次報告書も作成する義務があります。

指定国の現状

2024年1月13日現在、テロ支援国家として指定されている国は以下の4カ国です。

1. シリア：1979年12月29日に指定。
2. キューバ：1982年3月1日に指定されたが、2015年5月29日に解除、2021年1月11日に再指定。
3. イラン：1984年1月19日に指定。
4. 朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）：1988年1月に指定され、2008年10月11日に解除となったが、2017年11月20日に再び指定されました。

これらの国々は主に中東や北アフリカ地域に位置し、アメリカに対して敵対的な行動を取っている国々です。過去にテロ支援国家として指定されていた国々には、南イエメン、イラク、リビア、スーダンが含まれます。

他国の見解

興味深いことに、アメリカ以外の国々は「テロ支援国家」というカテゴリーを自己表現で使用することは少ないです。たとえアメリカの同盟国であっても、必ずしもこのリストに指定された国々と対立するわけではありません。例えば、日本政府はイランやキューバ、シリア、スーダン、リビア、イラクと国家間で友好的な外交や貿易関係を築いています。ただ、北朝鮮に関しては、特に拉致問題によりアメリカよりも深刻な対立をもたらしています。

国連総会では、1992年から2012年までにわたり、アメリカに対してキューバに対する敵視政策の停止を求める決議が提出されています。これに対して、アメリカとイスラエルは毎年反対票を投じ、そのほかの大多数の国が賛成する形で決議は可決されてきました。特に2012年度の決議では、賛成188カ国、反対3カ国（アメリカ、イスラエル、パラオ）という結果になりました。

また、2022年には、ロシアに対してテロ支援国家指定に関する決議が欧州議会で採択され、その直後にサイバー攻撃が行われたことでも注目されました。国際的なテロ対策の文脈では、各国が異なる視点からの判断を下すことがあり、それぞれの国の立場が反映されています。

結論

テロ支援国家の指定は、国際社会において重要な意味を持っており、特にアメリカはこの手法を通じて、自国の安全保障を強化し、国際的なテロとの戦いに臨んでいます。一方で、国際的な見解や関係によっては、アメリカのテロ支援国家に関する見解に異議も唱えられ、外交的な緊張を引き起こす要因ともなっています。

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