テンポ (インドネシアの雑誌)

テンポ（Tempo）

『テンポ』は、インドネシアにおけるニュースと政治を中心とした週刊誌であり、1971年3月6日に創刊されました。創設者のゴエナワン・モハマドとユスリル・ジャリヌスの思いが詰まったこの雑誌は、スタイルを象徴するオールキャップスのタイトルで、読みやすさと必要性を前面に出しています。雑誌のモットーは、「Enak Dibaca dan Perlu」（読んで楽しく、必要な）で、読者にとって何が重要かを常に考慮したコンテンツを提供しています。

沿革

新秩序時代

1994年、スハルト大統領の新秩序体制のもと、『テンポ』は政府の圧力によって発行が禁止されました。この発禁は、情報大臣ハルモコによるものであり、政府は『テンポ』を国家の安定に脅威をもたらす存在と見なしました。この動きに対抗する形で、ジャーナリストたちは独立ジャーナリスト連合（Aliansi Jurnalis Independen）を結成し、報道の自由を守るために戦いました。1998年にスハルト大統領が失脚すると、雑誌は再び発行を開始しました。

新秩序後の時代

『テンポ』は、再刊後も独立した誌面を保ち続けました。例えば、2010年の6月27日号では、警察の腐敗に関する重大な記事を掲載し、多くの警察幹部が不正に多額の資産を蓄えていることを暴露しました。この号が発刊された際、警察でもある関係者が雑誌の購入を試みましたが、彼らの動きは効果が薄く、その結果として他の地域でも売り上げが伸びることとなりました。これにより、さらなる注目を集め、雑誌は追加で3万部の増刷を行いました。

さらに、発表数日後の7月6日には、ジャカルタの編集部が爆弾襲撃を受けましたが、幸い被害は軽微でした。この襲撃の背後には、警察や政府関係者の関与が疑われており、政治的な圧力の一環であったと見なされています。

デジタルメディア展開

『テンポ』は、印刷雑誌の他に、オンラインプラットフォームであるTempo.coを運営しており、インターネットを通じて情報発信を行っています。週刊誌に加え、日刊新聞『コラン・テンポ（Koran Tempo）』も発行しており、こちらでは政治経済に関する調査報道を行なっています。この日刊紙は主にインドネシア語で発行されているものの、Tempo.coでは英語など他言語でのコンテンツも提供されており、国際的な視点からも読者に情報を届けています。

また、『テンポ』は、単なるニュースを提供するのではなく、事件の背後にあるストーリーを探り、独自の視点から情報を深掘りしていることが特色です。これにより、読者は最新の出来事だけでなく、その背景や続報についても理解することができます。

雑誌の言語と編集長歴

『テンポ』は、基本的にインドネシア語で発行されておりますが、2000年9月からは英語版もリリースし、更なる国際的な普及を図っています。歴代の編集長には、創業者のゴエナワン・モハマドをはじめ、バンバン・ハリムルティ、トリック・ハダド、ワユ・ムリヤディ、アリフ・ズルキフリ、ワユ・ディアトミカなどが名を連ね、現編集長はセトリ・ヤスラが務めています。

このような歴史と実績を持つ『テンポ』は、情報の信頼性と報道の公正さを保ちながら今後もインドネシアのメディアシーンにおいて重要な役割を果たすことでしょう。

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