ディアボロ (ジョジョの奇妙な冒険)

ディアボロ：謎に包まれた「帝王」

ディアボロは、荒木飛呂彦の漫画『ジョジョの奇妙な冒険 Part5 黄金の風』に登場する、物語の鍵を握る主要な敵キャラクターです。イタリアの裏社会を牛耳る巨大ギャング組織「パッショーネ」のボスとして君臨する彼は、その正体や過去が徹底的に秘匿されており、組織内ですら謎に包まれています。自らを「帝王」と称し、自身の地位と栄光を脅かす存在を許さない冷酷な人物です。

二重人格者：ディアボロとドッピオ

ディアボロは、もう一つの人格として「ドッピオ」という気弱な少年の人格を内に抱えています。この二重人格は、彼の複雑な内面を象徴しており、物語の重要な要素となっています。

ディアボロ：冷酷で残虐な、ギャング組織「パッショーネ」のボス。「帝王」を自称し、自身の支配を揺るがす者を排除しようとする。
ドッピオ：臆病で気弱な少年。ディアボロの人格を隠すための「仮面」であり、ディアボロの行動を把握することはできない。ディアボロからの指示を電話で受ける。受話器はあらゆるものを代用する。

ディアボロは、ドッピオの行動を常に把握していますが、その逆はありません。人格の入れ替わり時には体格まで変化し、ドッピオの時の記憶はディアボロにはありません。ドッピオは、自分を「ボスから唯一直接指令を下される忠実なる腹心」だと信じており、そのことを誇りに思っています。

徹底的な秘密主義

ディアボロは、自身の過去が地位や栄光を揺るがす原因になると考え、過去の痕跡や調査手段を徹底的に隠蔽・抹消してきました。そのため、彼の正体を知る者はほとんどいません。組織の幹部にも正体を知らせず、正体を探ろうとする者は容赦なく抹殺します。敵対者だけでなく、組織の構成員であっても、機密保持のためには自決を命じることもあります。彼は、与えられた仕事を完遂した人物は評価しますが、その基準はあくまで利己的です。

しかし、敵対者であっても、目的や誇りのために命懸けの行動を取った人物には、敬意を払う一面もあります。

生い立ち

1967年生まれ（アニメでは1965年）。イタリアの女子刑務所で、収監されていた女性から生まれました。父親については、母親が「2年以上前に病死」と証言しています。刑務所では育てられないため、母親の故郷であるサルディニア島の神父の養子となりました。19歳になるまでそこで暮らしており、周囲からは「臆病でどんくさいがさっぱりした性格」と思われていました。

しかし、1986年に神父がディアボロの部屋の床下から拘束された母親を発見したことをきっかけに、彼の故郷は炎に包まれ、ディアボロは死亡したとされました。この時に交際していた女性は、当時サルディニア島に観光に来ていたトリッシュの母ドナテラ・ウナです。彼はこの時、「ソリッド・ナーゾ」という偽名を使っていました。

また、同じ年にエジプトの遺跡発掘に参加し、そこで「矢」を6本発見して盗み出しました。そのうち5本をエンヤ婆に売り、残りの1本を組織拡大に利用しました。

パッショーネの創立と麻薬ビジネス

ディアボロは、「パッショーネ」を創立してボスとなり、多くの組織を潰し、大勢の人々を支配下に置きました。組織の基盤を確立すると麻薬密売を解禁し、ヨーロッパ全域を荒廃させる原因を作りました。1990年代には、ポルナレフによって正体を嗅ぎつけられ、徹底的に追い詰めた上で返り討ちにしました。

組織内では、スタンド使いの調達を幹部のポルポに任せていました。1999年には、正体を探ろうとした暗殺チームのメンバーを粛清し、見せしめとして死体を送りつけました。

Part5『黄金の風』での暗躍

2001年、娘トリッシュの存在を知ると、彼女が血縁関係にあることから、自分の存在を探知されることを恐れ、トリッシュを抹殺しようとします。トリッシュをヴェネツィアに護送させますが、これは彼女を誘い出すための罠でした。トリッシュを護送するブチャラティのチームと対立し、彼らを敵と見なすようになります。そして、ブチャラティの反逆にあい、ジョルノ・ジョバァーナとの最終決戦へと繋がっていきます。

サルディニア島では、リゾット・ネエロとの戦闘で重傷を負い、子供を襲って輸血して回復するという非道な手段を取ります。また、アバッキオを殺害しますが、アバッキオの最期の力によって素顔と指紋の型が残されます。

ローマでは、ドッピオの姿でブチャラティを操り、トリッシュを装ってジョルノたちを待ち構えます。ポルナレフを殺害しますが、ポルナレフが発動させた「シルバー・チャリオッツ・レクイエム」によって、魂が入れ替わるという混乱を引き起こします。その後、ジョルノに敗北し、「死」という真実にさえ永遠に辿り着けない「終わりのない終わり」を味わうことになります。

スタンド能力：キング・クリムゾン

ディアボロのスタンド「キング・クリムゾン」は、人型のスタンドで、額にもう一つの顔を持っています。彼のスタンド能力は、以下の2つです。

時間を消し飛ばす能力：十数秒間の時間を消し飛ばし、その間、ディアボロは攻撃を受けず、自由に動くことができます。
未来予知能力（エピタフ）：頭部にあるもう一つの顔で、数秒先の未来の映像を見ることができます。これにより、敵の攻撃を予測して回避することができます。

この能力の組み合わせにより、ディアボロは極めて強力な戦闘能力を発揮します。しかし、この能力もジョルノの「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム」の前には無力でした。

ヴィネガー・ドッピオ

ドッピオは、ディアボロの別人格であり、もう一つの魂です。ディアボロが表に出る必要がない場合に、その代わりに表に出て行動します。ディアボロの意向を伝えるために、電話で指示を受け、その際、受話器の代わりになるものならなんでも使います。ディアボロが行動する必要がある際は、ドッピオの姿で行動します。

ドッピオは、ディアボロの能力の一部を借りて操ることができます。しかし、使える能力は「エピタフによる未来予知」と「キング・クリムゾンの両腕」のみで、「この世の時間を消し去る」能力は使えません。ドッピオの最期は、コロッセオで発動した「シルバー・チャリオッツ・レクイエム」の能力により瀕死のブチャラティの肉体と魂が入れ替わり、そのブチャラティの肉体の死に巻き込まれて死亡しました。

まとめ

ディアボロは、『ジョジョの奇妙な冒険 Part5 黄金の風』において、圧倒的な力と狡猾さを持つ強敵として描かれています。彼の二重人格や過去の秘密、そして強力なスタンド能力は、物語を盛り上げる重要な要素となっています。彼の冷酷な性格や行動は、読者に強烈な印象を与え、作品をより深く楽しむための魅力的なキャラクターと言えるでしょう。

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