ディエゴ・コスタ

ディエゴ・コスタ（Diego Costa）は、16世紀後期から17世紀前半にかけて活動したイエズス会の宣教師であり、コスタ神父とも呼ばれています。彼の生涯は、激動の時代におけるキリスト教布教の歴史を象徴するものです。

生誕とイエズス会入会

ディエゴ・コスタは、天正4年（1576年）に生まれたとされています。詳しい生誕地は不明ですが、後にイエズス会に入会し、宣教師としての道を歩み始めました。イエズス会は当時、世界各地への布教活動を積極的に展開しており、コスタもその一員として、日本への派遣を志したと考えられます。

来日と布教活動

慶長14年（1609年）、ディエゴ・コスタは日本に到着し、キリスト教の布教活動を開始しました。当時の日本は、戦国時代が終わりを告げ、江戸幕府が成立したばかりの時期であり、キリスト教に対する警戒感が強まっていました。しかし、コスタは困難な状況にもかかわらず、熱心に布教活動を展開しました。彼は、言葉の壁や文化の違いを乗り越え、多くの人々にキリスト教の教えを伝えようと努めたと考えられます。

慶長の大追放と再入国

しかし、慶長19年（1614年）には、江戸幕府によるキリスト教弾圧政策が強化され、いわゆる「慶長の大追放」が実施されました。これにより、多くの宣教師やキリシタンが国外追放を余儀なくされ、ディエゴ・コスタもマカオへ一時的に逃れることとなりました。しかし、コスタは日本の人々を救いたいという強い意志を持ち続け、翌年にはマニラを経由して長崎から再入国しました。彼は、再び中国地方を中心に布教活動を再開しました。この再入国は、危険を顧みない、彼の信仰心の強さを示しています。

逮捕と処刑

再入国後も、コスタは熱心に布教活動を続けましたが、幕府のキリスト教弾圧は厳しさを増していました。そして、寛永10年（1633年）、コスタは周防国（現在の山口県）で捕えられ、長崎へ送られました。当時、長崎はキリスト教弾圧の中心地であり、多くのキリシタンが処刑された場所でした。ディエゴ・コスタもその一人として、長崎で斬首刑に処されました。彼の最期は、信仰のために命を捧げた殉教者として、語り継がれています。

結び

ディエゴ・コスタの生涯は、キリスト教の布教が激しい迫害にさらされた時代の、宣教師の献身的な活動と信仰の強さを伝えています。彼の活動は、日本におけるキリスト教の歴史において、重要な役割を果たしました。彼の勇気と信仰心は、後世の私たちに、多くの教訓を与えてくれます。

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