ディエゴ・ローザ

イタリア、ピエモンテ州に生まれたディエゴ・ローザ（1989年3月27日生）は、プロの自転車ロードレース選手として活動している。

2013年、彼はアンドローニ・ジョカットーリの一員としてプロの世界に足を踏み入れた。しかし、その才能の片鱗はプロ転向以前から既に現れていた。特にアマチュア時代の2012年には、ジロ・デル・フリウーリ・ヴェネツィア・ジュリアで総合優勝と区間勝利を挙げ、同年のジロビオでは山岳賞を獲得するなど、アマチュア最高峰の舞台でも優れた成績を残している。プロ入り後もその勢いは衰えず、2013年にはツール・メディテラネアンで最優秀ヤングライダー賞を受賞し、若手クライマーとして注目を集めた。

彼のキャリアにおける重要な転換点となったのは、2015年にカザフスタンの強豪チーム、アスタナ・プロチームに移籍したことである。このチームでは、彼は主にチームのエースクライマーであるファビオ・アルを支えるアシストとしての役割を担うことが多かったが、自らも個人として結果を残す力を示した。

特に2016年は彼のキャリアにおけるハイライトの一つと言える年となった。ワールドツアーレースであるバスク一周では、第5ステージで約130キロメートルにも及ぶ長距離の単独アタックを成功させ、難関のクイーンステージを制覇。これが自身にとって初めてとなるワールドツアーでの勝利となり、同時に同レースの山岳賞も獲得した。また、シーズン終盤の「落葉のクラシック」として知られるモニュメント、ジロ・ディ・ロンバルディアでは、強豪選手たちを相手に2位という目覚ましい成績を残し、クライマーとしての決定力とタフネスを改めて証明した。

2017年にはイギリスの名門チーム、チームスカイ（現イネオス・グレナディアーズ）へ移籍。ここでも主要な山岳区間でチームのリーダーたちを支える重要なアシスト役を担いつつ、ツール・ド・ポローニュでは山岳賞を獲得するなど、個人としても存在感を示した。その後、2020年にはフランスのアルケア・サムシックに活躍の場を移している。チームを移りながらも、彼はクラシックレースやステージレースの山岳区間、そしてアシストとしての貢献など、多方面でその能力を発揮し続けた。

プロキャリアを通じて、ディエゴ・ローザは粘り強いクライミングと戦術眼、そしてチームプレイヤーとしての貢献を兼ね備えた選手として評価されている。特に急勾配のフィニッシュや長距離の逃げにおける強さは特筆に値し、主要なレースでの山岳賞を複数回獲得していることは、その登坂能力の高さを物語っている。また、2018年にはセッティマーナ・インテルナツィオナーレ・ディ・コッピ・エ・バルタリで総合優勝を達成し、タイムトライアルを含む多岐にわたる能力を示した。イタリアのピエモンテ地方で育まれた彼の登りへの適性は、多くの山岳レースで遺憾なく発揮され、アシストとして献身的に働きつつも、自身にチャンスが巡ってきた際にはそれを最大限に活かす走りは、多くのファンを魅了した。

ディエゴ・ローザは、プロデビュー以来、その堅実な走りと勝負強さで、ロードレース界において確固たる地位を築いてきた実力派選手と言えるだろう。主要なステージレースやクラシックでの彼の存在感は大きく、今後もそのキャリアの展開に注目が集まる。

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