ディサビリティフラッグ

ディサビリティフラッグ：障害を持つ人々を象徴する旗

ディサビリティフラッグ（障害の旗）は、世界中の障害を持つすべての人々を象徴する旗です。2017年、バレンシア出身のダンサー、Eros Recio氏によってデザインされ、国際障害者デーなどのイベントで広く使用されることを目的として作成されました。現在、国連にも提出されており、その存在感は着実に高まっています。

旗の意味：多様性と克服の象徴

ディサビリティフラッグは、単に障害を持つ人々を表すだけでなく、彼らの権利擁護運動、尊厳、そしてパラリンピックなどの重要なイベントを象徴しています。金、銀、銅の三色は、パラリンピックの色を意識したもので、社会からの差別や逆境に対する集団としての克服、これまで勝ち取ってきた権利、そして不平等を可視化し、より良い未来へ向けた戦いを表しています。

しかし、この旗の精神は、パラリンピックが持つ競争主義や実力主義とは区別されるべきです。Recio氏によると、三色はそれぞれ「身体」「精神」「感覚器」の障害を表しますが、これは特定の障害を排他的に表すのではなく、すべての障害を包括的に象徴していることを意味します。内臓障害や多発性障害など、三色では表現しきれない多様な障害も包含されています。どの色が優れているわけでもありません。

旗の意味合いは、障害を持つ人々自身によって決定されるべきだとRecio氏は考えており、多様な運動を反映する、まさに多様な意味を持つ旗と言えます。

歴史：世界への広がり

2017年12月3日の国際障害者デー、ラテンアメリカの議員たちはペルーでの会議でこの旗を称賛し、全ての障害者の象徴として宣言しました。同日、旗は国連欧州本部にも届けられました。

その後も、スペインの多くの都市や自治体が国際障害者デーにこの旗を掲げるなど、その認知度は着実に高まっています。2018年には、スペインのパラリンピック組織であるFoment d'Esportistes amb Reptes（FER）もこの旗を採用しました。

Disability Pride運動との関連

ディサビリティフラッグの意味と概念は、時間の経過とともに進化し、特に西側諸国における普及は、現代の社会運動、特にDisability Pride運動に大きな影響を与えています。この運動は、ブラックプライドやLGBTプライド運動にそのルーツを持ち、米国では1990年にボストンで最初の障害者プライドパレードが開催されました。

その後、米国各地、そしてノルウェー、イギリス、韓国、ドイツなど世界各地に広がっています。シカゴの障害者プライドパレードの声明には、「障害」の定義を変えること、障害を持つ人々の間の内面化された恥を克服すること、障害を人間の多様性の自然な一部として捉える社会意識を促進することなどが目標として掲げられています。これらの理念は、Disability Prideイベントだけでなく、この旗の理念にも強く反映されています。

Eros Recio氏とディサビリティフラッグ

Recio氏は2019年12月12日、シルクアート高等専門学校で行われた式典で、シルク製のディサビリティフラッグを展示しました。そのスピーチの中で、彼はこの旗が世界中のすべての障害者を代表すると繰り返し述べ、シルクという伝統的な素材を用いた旗に強い誇りを表明しました。

また、彼は旗を「克服の旗（Bandera de la superación）」と呼ぶことを提案しました。これは、旗の肯定的な性格を強調し、能力主義的な差別による社会的分断を回避するためです。式典では、ソーシャルワークへの貢献を称え、関係者へ小型の旗が贈られました。

ディサビリティフラッグのデザインとコンセプトは、LGBTコミュニティなどの他の社会運動から影響を受けています。Recio氏は、障害を持つ人々を象徴する旗がないことを知ったことが、この旗のアイデアを生み出したきっかけだったと説明しています。

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