ディスクリート・ミュージック

概要

1975年にリリースされた『ディスクリート・ミュージック』（Discreet Music）は、イギリス出身の多才な音楽家、ブライアン・イーノによるソロ名義では4作目にあたるスタジオ・アルバムです。この作品は、彼がそれまで使用していた「イーノ」という単一名義ではなく、自身のフルネームである「ブライアン・イーノ」として初めて発表した記念碑的なアルバムでもあります。

楽曲構成

アナログ盤の形態を踏襲する本作は、サイドAとサイドBで異なる趣の楽曲が収録されています。

サイドA

サイドAには、アルバムのタイトルにもなっている楽曲「ディスクリート・ミュージック」が収録されています。この曲はブライアン・イーノ自身によって作曲され、その演奏時間は30分35秒に及びます。長時間にわたるこの楽曲は、後の彼のアンビエント・ミュージックへと繋がる要素を含んでいると言えるでしょう。

サイドB

一方、サイドBには、18世紀のドイツの作曲家ヨハン・パッヘルベルの代表作である「カノン ニ長調」に基づいた3つの異なる変奏曲が収められています。これらの楽曲は一連の組曲形式をとっており、「パッヘルベルのカノンに基づく3つの変奏曲」（Three Variations on the D Major by Johann Pachelbel）と総称されます。

サイドBを構成する個別の楽曲は以下の通りです。

「フルネス・オブ・ウィンド」（Fulness Of Wind） – 9分57秒
「フレンチ・カタログ」（French Catalogues） – 5分18秒
* 「フルータル・アーダ」（Brutal Ardour） – 8分17秒

演奏と制作

このアルバムの制作には、ブライアン・イーノ自身に加え、複数の協力者が関わっています。

ブライアン・イーノは、シンセサイザーやキーボードなどの楽器演奏を担当したほか、アルバム全体のプロデュースを手がけました。また、彼はこのアルバムのアートワークに使用された写真も担当しています。

特にサイドBの楽曲群の制作においては、外部の才能が重要な役割を果たしました。ギャヴィン・ブライアーズがこれらの楽曲の編曲と指揮を担当し、演奏はザ・コックピット・アンサンブルによって行われました。これにより、クラシック音楽を基にしたサイドBには、アンサンブルによる豊かな響きがもたらされています。

また、アルバムの完成には多くの技術スタッフの尽力がありました。マスタリングはサイモン・ヘイワースが、エンジニアリングはピーター・ケルシーが担当しています。アルバムのカヴァー・デザインはジョン・ボニスが手掛け、その後のリデザインはアンドリュー・デイが行いました。

その他の情報

このアルバムに関連する資料として、ライナーノーツなどが存在し、外部の情報源として参照することも可能です。

『ディスクリート・ミュージック』は、ブライアン・イーノのキャリアにおける重要な転換点を示唆する作品であり、その後の彼の音楽的探求の方向性を垣間見ることができる作品と言えるでしょう。

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