ディス・イズ・アメリカ

チャイルディッシュ・ガンビーノ「ディス・イズ・アメリカ」解説

「ディス・イズ・アメリカ」(This Is America) は、アメリカのラッパー、チャイルディッシュ・ガンビーノが2018年に発表した楽曲です。ガンビーノ自身とルドウィグ・ゴランソンのプロデュースで、リリースと同時に公開されたミュージックビデオ（MV）が、その衝撃的な内容から世界中で大きな話題を呼びました。

楽曲概要

この楽曲は、ヤング・サグ、スリム・ジミー、ブロックボーイJB、21サヴェージ、クエイヴォといった豪華なラッパーたちがバックグラウンド・ヴォーカルとして参加しています。歌詞は、アメリカにおける銃暴力の問題、頻発する銃乱射事件、そしてアフリカ系アメリカ人に対する人種差別といった、現代アメリカ社会が抱える深刻な問題をテーマにしています。

ミュージックビデオ

MVは、ガンビーノの過去作品も手掛けている日系アメリカ人のヒロ・ムライが監督を務めました。倉庫のような場所で踊るガンビーノを捉えながら、背後では様々な出来事が同時に進行していくという構成です。ジム・クロウを模したような姿勢で銃を構えたり、教会合唱団を銃撃したりするシーンは、アメリカ社会における暴力と差別の構造を象徴的に表現していると解釈されています。また、古い車やSZAのカメオ出演、ラストシーンなど、様々な要素が散りばめられており、多くの視聴者や批評家によって様々な解釈がなされました。

音楽的な特徴

楽曲自体は、一聴すると陽気なメロディーとトラップミュージックが融合したような印象を受けますが、歌詞の内容やMVと合わせて考えると、その背後にあるメッセージは非常に重く、考えさせられるものとなっています。アフリカの民族音楽のような要素を取り入れたり、ゴスペル調のコーラスを挿入したりするなど、音楽的な多様性も特徴です。

受賞と影響

「ディス・イズ・アメリカ」は、2018年のMTV Video Music Awardsで最優秀ビデオ賞を含む7部門にノミネートされ、第61回グラミー賞では最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞など4部門を受賞しました。この楽曲の成功は、ガンビーノをヒップホップ界の最重要アーティストの一人として確立させるとともに、社会的なメッセージを持つ音楽作品が広く受け入れられる可能性を示しました。

盗作疑惑

一部メディアでは、ジェイス・ハーレイの楽曲「American Pharaoh」との類似性が指摘され、盗作疑惑が報じられました。しかし、ハーレイ自身は自身の楽曲からの影響を感じつつも、問題視はしていません。ガンビーノのマネージャーも盗作を否定しています。

様々な解釈とパロディ

MVは公開後すぐに多くの人々に解釈され、様々な考察が生まれました。また、その影響力の大きさから、歌詞やテーマを置き換えたパロディ動画も多数制作されました。

まとめ

「ディス・イズ・アメリカ」は、単なる音楽作品としてだけでなく、現代アメリカ社会の抱える問題を提起し、議論を呼ぶ社会現象となりました。その衝撃的な映像とメッセージは、多くの人々の心に深く刻み込まれ、今後も長く語り継がれていくことでしょう。

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