ディス・フライト・トゥナイト

楽曲「ディス・フライト・トゥナイト」概要

「ディス・フライト・トゥナイト」(This Flight Tonight) は、カナダを代表するシンガーソングライター、ジョニ・ミッチェルによって作詞作曲された珠玉の楽曲です。彼女のキャリアの中でも特に高く評価されている作品の一つであり、その内省的で感情豊かな歌詞とメロディーは多くのリスナーを魅了しています。

オリジナル版：ジョニ・ミッチェル

本楽曲は、ジョニ・ミッチェルが1971年6月に発表した彼女の4作目となるアルバム『ブルー』に収められています。このアルバム自体が音楽史における名盤として名高く、本楽曲もその重要な構成要素の一つとなっています。また、当時シングルとしてリリースされた「ケアリー」(Carey) のカップリング曲（B面）としても収録されました。

ジョニ・ミッチェル自身による演奏では、アコースティックギターを基調としたシンプルながらも深みのあるサウンドが特徴です。切なくも力強い歌声が、別れへと向かう複雑な心情を描いた歌詞をより一層引き立てています。

ライブでの演奏

「ディス・フライト・トゥナイト」は、ジョニ・ミッチェルにとってライブでも重要な楽曲でした。特に1972年に行われた彼女のコンサートツアーでは、多くの公演でオープニングを飾る楽曲として頻繁に演奏されています。これは、楽曲が持つドラマチックな導入部や、ライブ会場の雰囲気を一気に引き込む力を持っていたことを示唆しています。

多様なカバーバージョン

本楽曲は、その普遍的な魅力ゆえに、発表以降、様々なジャンルのアーティストによってカバーされています。中でも特に広く知られ、商業的な成功を収めたのが、スコットランド出身のロックバンド、ナザレスによるカバーバージョンです。

ナザレスによるカバー

ナザレスは、1973年9月に「ディス・フライト・トゥナイト」をシングルとして発表しました。これは同年にリリースされた彼らのアルバム『威光そして栄誉』(Loud 'n' Proud) にも収録されています。ナザレスによるカバーは、原曲のアコースティックな雰囲気とは異なり、ハードロックにアレンジされており、力強いギターリフとダンのハミルトンのヴォーカルが特徴です。

このカバーバージョンは、主にヨーロッパを中心に商業的な成功を収め、大きなヒットとなりました。各国の主要なチャートでは、特に西ドイツで第1位を獲得したほか、オーストリアで2位、スイスで5位、イギリスで11位、カナダで27位を記録するなど、好成績を残しています。このナザレス版のヒットにより、原曲を知らなかった多くのロックファンにも「ディス・フライト・トゥナイト」の存在が広く知られることとなりました。

その他の notable なカバー

ナザレス以外にも、多くのアーティストが「ディス・フライト・トゥナイト」を独自の解釈でカバーしています。以下にいくつかの例を挙げます。

ヘヴンズ・ゲイト (Heavens Gate) - アルバム『IN CONTROL』(1989年)に収録。
ダイアモンド・ヘッド (Diamond Head) - ライブ・アルバム『Evil Live』（1994年）に収録。
アイアン・セイヴィアー (Iron Savior) - アルバム『Iron Savior』（1997年）に収録。
ドゥギー・ホワイト (Doogie White) - ナザレスのトリビュート・アルバム『Another Hair of the Dog - A Tribute to Nazareth』（2002年）に収録。
ローリー・アントニオーリ (Laurie Antonioli) - ジョニ・ミッチェルのトリビュート・アルバム『Songs of Shadow, Songs of Light - The Music of Joni Mitchell』（2014年）に収録。
モニカ・ボージム (Monika Borzym) - アルバム『Back to the Garden』（2016年）に収録。
* モーガン・ジェームズ (Morgan James) - アルバム『Blue』（2016年）に収録。

これらの多様なカバーは、ジョニ・ミッチェルが生み出した本楽曲が持つメロディーや歌詞の普遍性が、時代やジャンルを超えて多くのミュージシャンにインスピレーションを与え続けていることを物語っています。

もう一度検索