ディス・ワン

ディス・ワン（This One）

ディス・ワンは、1989年にポール・マッカートニーによって発表された楽曲で、彼のアルバム『フラワーズ・イン・ザ・ダート』から取り出された2番目のシングルです。この曲は、様々な国でヒットチャートに登場し、イギリスでは18位、アメリカでは94位、日本では14位を記録しました。

ジャケットと音楽スタイル

このシングルのジャケットには、白鳥に乗ったヒンドゥー教の神クリシュナが描かれており、視覚的には東洋の要素が強調されています。また、音楽的にもインドを意識したサウンドが特徴です。このようなスタイルには、ビートルズのメンバーであるジョージ・ハリスンがインド文化に深い愛情を抱いていたことから、彼へのメッセージが込められているという説もあります。

実際、ディス・ワンは『ビートルズ・アンソロジー』の制作過程において、マッカートニーとハリスンの関係改善にも一因となったと言われています。この時期は、ビートルズ解散に関連する様々な問題が存在していましたが、音楽が彼らを再び結びつけるきっかけとなったのです。

言葉遊びの魅力

ポール・マッカートニーは、2017年のインタビューにおいて、「この曲は全くくだらない言葉遊びだ」と語っています。彼の父親が言葉やクロスワードに興味を持っていたことから、自身も同様の道を歩んできたことが影響しています。例えば、彼は「This One」というフレーズから「この白鳥」（This Swan）という語感の関連性を感じたと明かしています。こうした言葉遊びのセンスが彼の音楽に豊かさをもたらしているのです。

収録曲の詳細

7インチ・シングル

• - This One
• - The First Stone

12インチ・シングル、CDシングル

• - ディス・ワン - This One
• - ザ・ファースト・ストーン - The First Stone
• - アイ・ウォナ・クライ - I Wanna Cry
• - アイム・イン・ラヴ・アゲイン - I'm In Love Again

この他にも、カップリング曲として『The First Stone』と『Good Sign』が収録されている12インチシングルバージョンも存在します。これにより、ファンは多様な楽しみ方ができるようになっています。

クレジット

この楽曲には、ポール・マッカートニー自身がリード・ボーカルだけでなく、ベースやギター、キーボードなど多くの楽器を演奏しています。また、彼のバンドメンバーとして、ロビー・マッキントッシュとヘイミッシュ・スチュアートが参加し、リンダ・マッカートニーがバッキング・ボーカルで支えています。ドラマーのクリス・ウィッテンやハーモニカのジャッド・ランダーもこの楽曲の制作に関与しており、様々な要素が融合した作品に仕上がっています。

このように、『ディス・ワン』はマッカートニーの音楽的探求の一環として、豊かな背景と深いメッセージを持つ楽曲となっています。

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