フラワーズ・イン・ザ・ダート

アルバム概要

『フラワーズ・イン・ザ・ダート』（Flowers In The Dirt）は、1989年にリリースされたポール・マッカートニーのアルバムです。タイトルの「flowers in the dirt」というフレーズは、収録曲「That Day Is Done」（ふりむかないで）の一節から取られています。このアルバムは、彼のキャリアにおいて大きな転機となる作品であり、エルヴィス・コステロとのコラボレーションや様々なプロデューサーとの共同作業が特徴です。

背景

1980年代後半、ポールはフィル・ラモーンと共に「ワンス・アポン・ア・ロング・アゴー」などの楽曲を制作していましたが、1987年にこのコンビは解消されました。その後、エルヴィス・コステロとの出会いが彼の音楽に新たな影響を与えました。二人は電話で知り合い、多くの楽曲を共作し、このアルバムには4曲が収録されています。特に「ユー・ウォント・ハー・トゥー」では、彼らのデュエットが楽しめます。

本作は、マッカートニーが様々なプロデューサーを起用したことにより、サウンドに多様性を持たせています。それでもなお、彼の特徴的なメロディーはしっかりと保持されており、聴く者を魅了します。

ツアーと特別エディション

『フラワーズ・イン・ザ・ダート』の発表後、ポールは実にウイングス以来となるワールドツアーを行いました。このツアーは1989年9月から1990年7月まで続き、ビートルズ時代の楽曲が多く演奏されました。これにより、彼の過去の名曲が再評価される機会ともなりました。

1991年には、このアルバムの来日記念盤として、「フラワーズ・イン・ザ・ダート – スペシャル・パッケージ」が限定発売されました。この2枚組には、新録音の「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」や、「ラヴ・ミー・ドゥ」と「P.S.アイ・ラヴ・ユー」を繋げた「P.S.ラヴ・ミー・ドゥ」など、全8トラックが収録されています。

楽曲紹介

本アルバムには、先行シングルとしてリリースされた「マイ・ブレイヴ・フェイス」、コステロとの共作である「ユー・ウォント・ハー・トゥー」、また「ふりむかないで」のように、ポール自身が作詞・作曲した楽曲が多数含まれています。特に「ラフ・ライド」、「フィギュア・オブ・エイト」、「ハウ・メニー・ピープル」、「太陽はどこへ?」の4曲は、ポール、トレヴァー・ホーン、スティーヴ・リプトンの共同プロデュースによるものであり、そのサウンドは特に現代的な要素が感じられます。

「幸せなる結婚」はデイヴィッド・フォスターとの共同プロデュースとなり、ピンク・フロイドのデイヴィッド・ギルモアがゲスト参加しています。また、「プット・イット・ゼア」には、ジョージ・マーティンによるストリングスアレンジが施されています。

アルバムの意義

一時期、このアルバムはマッカートニーの最後の全英アルバムチャート1位を獲得した作品とされていましたが、2020年にリリースされた『マッカートニーIII』により、この記録は31年ぶりに更新されました。『フラワーズ・イン・ザ・ダート』は、ポール・マッカートニーの音楽の新たな方向性を示すだけでなく、彼自身のクリエイティブな再生を象徴する重要なアルバムです。

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