ディマルガリス目

ディマルガリス目（Dimargaritales）について

ディマルガリス目は、キクセラ亜門に属する特異な菌類の一群であり、唯一のディマルガリス科を形成しています。この目は3つの属から成り、さらに属の位置が未特定の1属が含まれます。各属には少数の種が存在し、いずれも菌寄生菌として知られていますが、条件さえ整えば純粋に培養することも可能な条件的寄生菌です。

特徴

ディマルガリス目の菌類は発達した菌糸体を持つカビとして広く知られており、一般に糞から分離されることが多いです。観察結果では、これらのカビがケカビ目に属する他のカビに寄生する事例が確認されています。宿主に対する特異性が高くなく、培養条件下ではCokelomycesを人工的な宿主として二員培養する実験が行われています。特に、酵母エキスや麦芽エキスを含む培地でも微弱ながら生育可能であり、寄生しなくても成長できるため、条件的寄生菌としての特性が際立っています。

菌糸体は発達し、均一な構造から成り、規則的に隔壁が形成されており、その中央には小さな穴が存在します。菌寄生の特性から、宿主の菌糸に接触する部分では、細胞内に侵入するための吸器が枝分かれして伸びます。この目の特徴的な要素は、一風変わった無性生殖器官にあります。胞子形成部は基質から立ち上がり、その上に胞子が形成されます。属ごとに形態は異なるものの、樹枝状に分かれた部分の先端二節がそれぞれ独立した胞子となり、これは二胞子の分節胞子のうとして認識されています。有性生殖は、特に分化しない菌糸同士の接合によって接合胞子のうを形成し、球形で滑らかな表面を持つ接合胞子のうが得られます。

研究史

ディマルガリスとその近縁の属ディスピラは、19世紀後半にファンティガンによって最初に記載されました。彼はこれらの属を不完全菌として定義し、子嚢菌の分生子形成態として捉えていました。しかし、同時にいくつかの専門家は、これらを接合菌に分類する見解も持っていました。後に、R.K. ベンジャミンがディマルガリス類の新しい株を発見し、複数の新属と新種を記載しました。彼はこれらが接合胞子嚢を形成することを認め、接合菌としての位置づけを明確にし、それを他の接合菌とは別の系統に分類して独立の科、ディマルガリス科を確立しました。

分類

接合胞子嚢の形成に基づき、ディマルガリス目は接合菌に属します。菌糸体の発達具合や分節胞子嚢の形成もその特徴であり、20世紀末にはケカビ目に分類されていました。しかし、その後の分子系統解析により、接合菌綱は多系統的であるとの見解が生まれ、分類が見直されました。現在では、ディマルガリス目はキクセラ亜門に属し、門の所属はまだ不確定です。

ディマルガリス目の現在の構成には三属と一つの不明な属があり、胞子形成部とそれを支える菌糸の形状によって区別されています。

• - Dimargaris: 樹枝状の菌糸が立ち上がり、その先端に樹枝状の胞子形成部が見られる。
• - Dispira: 立ち上がった菌糸の先端が数回分岐し、巻き付くように曲がりながらとがっている。胞子形成部は球状で、枝の途中から形成される。
• - ティージェムカビ: 短い柄から胞子形成部ができ、そこからまっすぐに延びる不実の枝が一本出る。
• - Spinalia: 分枝しない胞子柄の先端に球形の頂のうが見られ、その表面に分節胞子のうが形成される。

これらの菌類はそれぞれ特異な特徴を持ち、分類や研究において重要な位置を占めています。

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