ディヴィッド・マレル

デイヴィッド・マレル

デイヴィッド・マレル（David Morrell）は、1943年4月24日にカナダのオンタリオ州キッチナーで生まれ、主にアメリカ合衆国を拠点に活動する著名な作家です。彼の作品は、息詰まるホラーからスリル満点の冒険小説まで、幅広いジャンルにわたります。

ペンシルベニア州立大学で文学、特にアメリカ文学を深く学び卒業した後、教育の道に進み、1970年から1972年にかけてアイオワ大学で英文学の教鞭をとりました。

作家としてのキャリアは1972年に始まり、第一作となる『一人だけの軍隊』（First Blood）を発表しました。この作品は、ベトナム戦争帰還兵の苦悩と孤独な戦いを描いたもので、その強烈な内容が多くの読者に衝撃を与えました。そして1982年、この作品はシルヴェスター・スタローン主演で『ランボー』として映画化され、世界的な大ヒットを記録しました。映画の成功を受けて、マレル自身もその後の続編映画のノベライズを手がけることになります。彼のデビュー作は、映画史に残るアクションヒーロー誕生の原点として広く知られています。

作家活動の傍ら、2007年から2008年にはアメリカの人気コミックシリーズ「キャプテン・アメリカ」のミニシリーズ「The Chosen」の原作執筆を担当するなど、異なるメディアでもその才能を発揮しています。

マレルの作品は、ただのアクションやホラーに留まらず、登場人物の心理描写や社会的なテーマを織り交ぜることに長けています。特にホラー分野での功績は高く評価されており、長編『廃墟ホテル』（Creepers）で2006年にブラム・ストーカー賞を受賞したほか、短編「苦悩のオレンジ、狂気のブルー」（Orange is for Anguish, Blue is for Insanity）で1989年、短編「墓から伸びる美しい髪」（The Beautiful Uncut Hair of Graves）で1992年と同賞の短編部門でも受賞歴があります。

彼の日本語訳された主要な著作には、『一人だけの軍隊』を筆頭とする「ランボー」シリーズ関連作のほか、ホラーの代表作『トーテム』、スパイアクションの『ブラック・プリンス』、『石の結社』、現代社会の闇を描いた『テロリストの誓約』など多岐にわたります。また、短編集として『苦悩のオレンジ、狂気のブルー』や『真夜中に捨てられる靴』が出版されており、短編においてもその卓越した語り口を味わうことができます。

デイヴィッド・マレルは、その多様なジャンルと深い洞察力で、読者を惹きつけ続ける現代文学界の重要な作家の一人です。

日本語訳された著作リスト

「ランボー」シリーズ

『一人だけの軍隊』 (First Blood, 1972) - ハヤカワ・ノヴェルズ、ハヤカワ文庫。
『ランボー2/怒りの脱出』 (Rambo: First Blood Part II, 1986) - ハヤカワ文庫。映画のノベライズ版。
『ランボー3/怒りのアフガン|ランボー3_怒りのアフガン』 (Rambo III, 1988) - ハヤカワ文庫。映画のノベライズ版。

長編

『トーテム』 (The Totem, 1979) - ハヤカワ文庫モダンホラー・セレクション。
『トーテム - 完全版』上・下 (The Totem) - 創元推理文庫。
『血の誓い』 (Blood Oath, 1982) - 光文社文庫。
『ブラック・プリンス』上・下 (The Brotherhood of the Rose, 1984) - 光文社、光文社文庫海外シリーズ。
『石の結社』 (The Fraternity of the Stone, 1985) - 光文社、光文社文庫。
『夜と霧の盟約』上・下 (The League of Night and Fog, 1987) - ハヤカワ・ノヴェルズ、ハヤカワ文庫。
『蛍』 (Fireflies, 1988) - 早川書房。ノンフィクション。
『テロリストの誓約』上・下 (The Covenant of the Flame, 1991) - ハヤカワ・ノヴェルズ。
『偽装者』上・下 (Assumed Identity, 1993) - ハヤカワ・ノヴェルズ。
『暗殺 - 究極の否定』 (Extreme Denial, 1996) - 新潮文庫。
『真紅のレクイエム』 (Desperate Measures, 1994) - ハヤカワ・ノヴェルズ。
『ダブルイメージ』上・下 (Double Image, 1998) - 二見文庫ザ・ミステリ・コレクション。
『赤い砂塵』 (Burnt Sienna, 2000) - ハヤカワ文庫。
『ブラッド/孤独な反撃』 (Long Lost) - ハヤカワ文庫。
『廃墟ホテル』 (Creepers) - ランダムハウス講談社文庫。
2006年ブラム・ストーカー賞受賞

短編集

『苦悩のオレンジ、狂気のブルー』 (Black Evening, 1984) - 柏艪舎。
収録作多数。
短編「苦悩のオレンジ、狂気のブルー」で1989年ブラム・ストーカー賞受賞
短編「墓から伸びる美しい髪」で1992年ブラム・ストーカー賞受賞
『真夜中に捨てられる靴』 (Nightscape, 2004) - ランダムハウス講談社文庫。
収録作多数。

短編

「思い出の日々」 (The Good Times Always End) - 『EQ』1999年7月号掲載。

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外部リンク

* Home - David Morrell 公式ウェブサイト（英語）

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