デイビッド・E・アプター

デイビッド・アーネスト・アプター（1924年12月18日-2010年5月4日）は、アメリカ合衆国を代表する政治学者、社会学者の一人です。イェール大学比較政治・社会開発のヘンリーJ.ハインツ教授、シニア研究員を務めた彼の研究は、世界中の政治学に多大な影響を与えました。

アプターはブルックリンに生まれました。12歳の時、父親の急逝により経済的な困難を経験し、学業を中断して働きに出ます。しかし、その後陸軍に入隊し、その功績が認められ高校卒業資格を取得。アンティオーク大学で経済学と政治学の学位を取得した後、プリンストン大学へと進学し、1952年に修士号、1954年に博士号を取得しました。

学術界でのキャリアは輝かしいものでした。1961年からカリフォルニア大学、1969年からイェール大学で教鞭をとり、国際研究所所長、社会学部長など要職を歴任。ノースウェスタン大学やシカゴ大学でも教鞭を執り、新興国家比較研究委員会事務局長も務めました。また、ウィットニー人文学センターの設立フェローにも選出されています。アメリカ芸術科学アカデミーフェロー、グッゲンハイム・フェロー、ファイ・ベータ・カッパ講師など、数々の栄誉ある称号や職位に就きました。オール・ソウルズ・カレッジ客員研究員、プリンストン高等研究所研究員、行動科学先端研究センター研究員、オランダ人文社会科学高等研究所研究員としての経験も積んでいます。

アプターの研究の中心は新興国の近代化における政治過程でした。アフリカ、ラテンアメリカ、日本、中国など、世界各地で民主化や政治的暴力に関する広範な実地調査を行いました。特に、日本では三里塚闘争を取材し、澤良世氏と共にその成果を著書にまとめています。これらの経験と深い分析に基づき、比較政治論、近代化論、政治社会変動論を理論的に発展させることに大きく貢献しました。彼の研究は、単なる学問にとどまらず、現実世界の政治的課題に直接的に取り組むものでした。

学際的な研究への貢献が認められ、2006年にはマッテイ・ドガン財団の初の受賞者となりました。これは、彼の研究の重要性と影響力の大きさを示す重要な賞です。2010年5月4日、コネチカット州ノース・ヘブンの自宅で癌の合併症のため逝去しました。彼の死は、政治学界に大きな損失をもたらしました。しかし、彼の残した膨大な研究成果は、今後も世界中の研究者や学生に学びとインスピレーションを与え続けるでしょう。アプターの功績は、単なる学問的な業績を超えて、社会に貢献する知の力を示すものです。

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