デイリー・ミラー

デイリー・ミラーの概要

デイリー・ミラー（The Daily Mirror）は、イギリスで最も有名な日刊タブロイド紙の一つです。1903年にアルフレッド・C・W・ハームズワースによって女性向けの新聞として創刊されましたが、思うような成功を収めることができず、すぐに編集方針を変更し、絵や写真を多く掲載するスタイルに転換しました。この見直しにより、発行部数は徐々に増加していきました。

歴史的な発展

デイリー・ミラーは、特に第二次世界大戦中に注目されました。当時、イギリス軍は日本軍による攻撃でシンガポールを失うなど苦しい状況に直面しており、新聞はウィンストン・チャーチル首相を厳しく批判しました。その結果、発禁処分を受けそうになるほどの波紋を呼びました。1913年に、ノースクリフ卿はこの新聞を弟であるハロルド・ハームズワースに売却しました。

1984年にはロバート・マックスウェルが買収し、その後1999年からはTrinity Mirror（トリニティ・ミラー）が所有しています。この企業の本拠地は、ロンドン東部のカナリー・ワーフにある高層ビルであるワン・カナダ・スクウェアです。

編集方針の変遷

1990年代には、競合のサン紙から読者を奪うために、デイリー・ミラーは内容をより世俗的かつ大衆向けにしましたが、この試みは多くの非難を受け、期待された成果には結びつきませんでした。特に、見出しの色を赤から黒に変更したことには、大きな意義がありました。赤色は一般的に低俗で刺激的な内容に使われるため、読者に対して一線を画す意図があったと言われています。

現在の状況と編集方針

イギリスのタブロイド紙の中でも、デイリー・ミラーは左派的な編集方針を強く打ち出しています。特に2003年には、イラク戦争に反対する唯一のタブロイド紙としての立場を明確にし、多くの注目を集めました。また、2004年にはイギリス軍がイラクの囚人を虐待しているという捏造写真を掲載したことで、当時の編集長ピアーズ・モーガンが解雇される事態にまで発展しました。

現在、デイリー・ミラーの編集長は初の女性であるアリソン・フィリップスが務めています。彼女は新聞の内容を見直し、有名人の暴露記事だけではなく、より堅実な報道を中心に据えるよう努力しています。とはいえ、その試みが必ずしも成功したとは言えず、今後の方向性が注目されています。

デイリー・ミラーは、長い歴史を持つ新聞であり、イギリスのメディア界において重要な役割を果たしています。

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