タブロイド

タブロイド新聞の概要と歴史

タブロイド新聞とは、特にセンセーショナルな報道やゴシップを中心とする新聞の形態で、主に特定のサイズに基づいています。国際的にみると、タブロイド版のサイズはおよそ285×400mm（11¼×15¾インチ）であり、大型新聞のブロードシート判（375×600mm）やノルディッシュ判（400×570mm）の半分に相当します。このように比較的コンパクトなサイズのため、タブロイド新聞は一般読者の関心を引きやすい特徴があります。

日本においては、273×406mmをタブロイド判と呼び、1950年の公職選挙法では選挙運動用ポスターがこのサイズを超えてはいけないと規定されています。

タブロイドの起源と歴史

タブロイドという用語は、1870年代後半にロンドンとアメリカの製薬会社であるバロウズ・ウェルカム社が開発した固形薬「タブロイド」に由来します。これが広く普及したことで、1914年には小型航空機「ソッピース・タブロイド」が命名され、徐々に「小型」を示す表現として一般化しました。また、同時期には新聞においても短く簡潔な報道スタイルが「タブロイド」と呼ばれるようになりました。

イギリスで最初の大衆紙とされる『デイリー・メール』が創刊された1896年、タブロイド判が正式に新聞形態として登場しました。その後、1918年以降には『ザ・サン』『デイリー・スター』『デイリー・ミラー』などの新聞がタブロイド判を採用し、犯罪やゴシップ、性に関する記事を扇情的に扱うスタイルが特徴的となりました。これらの新聞はしばしば赤い題字を持ち、「レッドトップス」として知られています。このようなセンセーショナルな報道は、多くの場合名誉棄損の訴訟を引き起こしています。

アメリカでも1920年前後にタブロイド判新聞が登場し、特に『デイリーニューズ』や『ニューヨーク・デイリー・ミラー』等は、当時他のメディアが避けていた犯罪やゴシップを積極的に報じましたが、次第に扇情的な傾向は薄れていきました。

タブロイドの変遷

20世紀後半には、高級紙が小型化を進め、コンパクトなタブロイド判に移行する動きがありました。1970年代には『デイリー・メール』や『デイリー・エクスプレス』がブロードシートからタブロイドに移行しました。この際、『デイリー・メール』は新たなイメージを打ち出すために「コンパクト判」と名付け、更なる進化を遂げました。2000年代に入るとイギリスの『タイムズ』や『スコッツマン』などが相次いでタブロイド判を採用し、目新しいデザインでの紙面作りが進化しました。

日本では1947年に学童用教科書の用紙不足に対応するために、116社がタブロイド判での新聞発行を開始しました。これにより、日本でもタブロイド新聞が普及しました。

現在、日本には『夕刊フジ』や『日刊ゲンダイ』などの大衆紙が存在し、アメリカやイギリスと同様にセンセーショナルな内容を扱っています。また、「知る権利」に対応したタブロイドとは異なる形での新聞も存在しています。

結論

タブロイドは、比較的小型で手に取りやすく、大衆に受け入れられやすい特徴を持つ新聞形態です。その起源から現代にかけて、報道スタイルや内容は大きく変化し、世界中で広く利用されています。タブロイド新聞は、情報伝達の一環として重要な役割を果たし続けています。

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