デイリー・メール

デイリー・メールの概要

『デイリー・メール』（Daily Mail）は、1896年にイギリスで創刊されたタブロイド新聞であり、現在も運営され続ける世界最古の新聞の一つです。発行部数は『ザ・サン』（The Sun）に次いで第2位を誇り、大衆向けの読者層をターゲットにしています。特筆すべきは、この新聞が日刊紙として初めて100万部を超えたことです。

編集方針とターゲット

『デイリー・メール』は、一般的な高級紙が裕福な上流層を対象とする中、中下流の層に世界情勢や社会問題への理解を促す内容を提供することに注力しています。その編集傾向は右派寄りであり、特に反リベラリズムを強く打ち出しています。ライバルである『デイリー・エクスプレス』と同じく、同じ読者層を目指していますが、『デイリー・メール』は発行部数で圧倒しています。

創刊と初期の成功

創刊者はアルフレッド・ハームズワースとハロルド・ハームズワースの兄弟です。彼らは、既存の日刊紙とは異なるアプローチを取るべく、1896年5月4日に『デイリー・メール』を発表しました。これまでの一ペニーという価格を見直し、より手頃な1/2ペニーに設定したことから、創刊早々に大成功を収め、50万部を越える発行部数に達しました。特に記事のスタイルは、短く分かりやすいものへと変化していったのです。

歴史的な出来事

『デイリー・メール』は、1906年に英仏海峡横断飛行などに対して賞金を提示し、それが後の航空機開発に寄与したとされています。また、第一次世界大戦に関しての偏見ある報道が議論を呼び、一時期は発行部数が大幅に減少する事態に至りました。1915年には、当時の陸軍大臣キッチナーに対する厳しい批判が反響を呼び、発行部数が減少し、さらには政府からの非難を受ける結果となりました。

発行部数の増加と紙面の変化

1926年には発行部数が200万部に達するなど、時代と共にニュースメディアの中で確固たる地位を築きました。1971年には通常の新聞サイズからタブロイドサイズに変更され、さらに1982年には姉妹紙として『ザ・メール・オン・サンデー』が登場しました。このタブロイドスタイルは、今日まで同紙の特色として根付いています。

最近の動向

近年では、2016年のイギリスのEU離脱において、同紙は反グローバリズムの観点から離脱支持を強く展開しました。その後、元首相キャメロンからの編集者解任の要請を拒否するなど、報道内容の独立性を強調しました。また、2017年には科学的コンセンサスに反する温暖化否定の記事が大きな反響を呼びました。その後のファクトチェックに対抗する形で、右翼メディアと協力して主張を広めていました。

まとめ

『デイリー・メール』は、創刊以来、報道のスタイルや編集方針を変更しながらも、読者層を広げてきた新聞です。特にその右派的な立場や、大衆向けの内容で多くの読者を惹きつけてきました。政治や社会問題に対するアプローチは常に物議を醸しており、今後の動向にも注目が集まっています。

もう一度検索