デコイNo22

デコイNo22の物語

デコイNo22は、1991年から2006年にかけて実施されたアホウドリの繁殖事業の一環として、東京都の伊豆諸島にある鳥島の初寝崎に設置された雌のアホウドリモデルの一つです。このデコイは著名なバードカービングアーティスト、内山春雄によってデザインされ、京都の西尾製作所によって製造されました。

このデコイが特に注目を集めるようになったのは、1997年頃から特定の雄アホウドリがデコイNo22に対して求愛の行動を9年間続けていたことからです。この雄アホウドリは「デコちゃん」と名付けられ、愛の巣作りや求愛ダンスを繰り返す姿が見られました。興味深いことに、デコちゃんは当初4歳の若鳥であり、デコイへの特別な愛情を示し続けました。

DNA鑑定によって、デコちゃんの羽根が鳥島生まれではなく、尖閣諸島で生まれたことも判明しています。デコちゃんは他の92体の雌デコイの中でも、特にこのデコイNo22を選ぶ傾向があり、他の雄アホウドリが近づくと威嚇することもあったとされています。

2005年度の繁殖地形成事業の終了に伴い、2006年春にデコイの設置は中止され、同年5月にはデコイNo22を含む全てのデコイが撤去されました。アホウドリは一夫一婦制の生態を持ち、一度ペアになると相手を変えないため、デコちゃんが連れ合いを失った後の行動には多くの人々が関心を寄せました。

その後、2006年11月から12月にかけて行われた繁殖状況調査で、デコちゃんが新たな雌アホウドリとつがいになったことが確認され、この様子は2007年4月19日に放送された「午後は○○おもいッきりテレビ」で紹介されました。続いて、デコちゃんはそのメスとの間でつがいを形成し、2008年2月にはヒナの誕生や給餌行動が確認され、順調に繁殖を続けていることが明らかになりました。

2013年には、デコちゃんが雌アホウドリとの繁殖を順調に続けているとの情報が入っています。デコイは鳥島だけではなく、他の地域でも利用されることがありました。具体的には、2008年から小笠原群島の聟島で始まったアホウドリのコロニー誘導事業でも、鳥島に設置されていたデコイの一部が再利用されています。

現在、デコイNo22は鳥島から回収された後、2021年から高知県香南市の香我美市民館に展示されています。このデコイは、アホウドリの保護活動の一環としての重要な役割を果たし続けており、訪れてくれる人々にすばらしい歴史を伝えています。

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