デコトラシリーズ

青島文化教材社 デコトラシリーズ：日本のデコトラ文化を凝縮したプラモデルの歴史

青島文化教材社が展開するデコトラシリーズは、日本で独自の文化として発展してきた「デコトラ」（デコレーションされたトラック）を模型化したプラモデルシリーズです。1975年公開の映画『トラック野郎』シリーズの大ヒットがきっかけとなり、アオシマは独自のデコトラ模型の開発に着手。バンダイが『トラック野郎』シリーズの玩具版権を独占したため、アオシマは独自の路線を歩むこととなり、デコトラシリーズが誕生しました。

シリーズの黎明期と進化

シリーズの初期名称は「デコトラ爆走野郎」で、当初は中型トラック、後に大型トラックへと展開していきました。1980年代にはザ・グレート・ドルフィン810が登場し、1980年代中盤にはタイヤホイールが新規金型に更新。1990年代にはロングシャーシやパネルバン荷台が追加され、よりリアルな表現が可能になりました。ダンプシャーシや荷台は、1991年にリリースされたザ・グレートスーパーフレームダンプ用に開発されたもので、実車のシャーシを忠実に再現しており、この頃からヘビーフレイト的なコンセプトが芽生えていたことが伺えます。初期のキットには、バッテリーケースにスリーダイヤのモールドが残っていましたが、現在は他車種への流用を考慮してフラットに変更されています。

その後、中型車では風のレンジャー、初代ファイター、840フォワード、クルージング/ライジングレンジャーが登場。大型車では1990年代にモデルチェンジが行われ、初代プロフィア、初代ギガ、スーパーグレートなどがモデル化されました。1/32スケールにおいて日産ディーゼル（UDトラックス）車は登場していませんが、『バリューデコトラエクストラ』や『トラック狂想曲』シリーズの箱絵では背景にビッグサムやクオンが登場したことがあります。2000年代後半には、グランドプロフィア、レンジャープロ、新型スーパーグレート（当時）、KF/ZM/HEなどがモデル化されています。

多様なシリーズ展開と現在

初期から2000年代前半まではアオシマオリジナルの装飾を施したデコトラを展開していましたが、2000年代中ごろからは実在するデコトラ車両のモデル化に力を入れるようになりました。2010年前後からは、一般向けでアオシマオリジナル装飾中心の「バリューデコトラ」シリーズ、ヘビーフレイトシリーズをベースにした上級者向けで実在車中心の「アートトラック」シリーズ、「バリューデコトラエクストラ」シリーズを展開しています。その他、「トラック野郎」シリーズや、若年層向けの小型モデル「ミニデコ」シリーズも展開され、ミニデコシリーズでは日産ディーゼル・レゾナがモデル化されています。なお、おもちゃなどの分野における「デコトラ」の商標は、現在もアオシマが保有しています。

バリューデコトラシリーズ

2010年3月発売開始のバリューデコトラシリーズは、現在の中心シリーズです。旧デコトラシリーズをベースに現代風にアレンジされており、「断突レンジャー」「猛烈ファイター」「熱血フォワード」を含む4tデコトラシリーズと大型デコトラシリーズのキットをベースにしています。通常モデルと特別版の「バリューデコトラエクストラ」があり、旧デコトラシリーズや「爆走野郎」シリーズの車種もラインナップされています。キャッチコピーは「創造のプラモデル」で、組立図通りに作るもよし、オリジナルの1台を作るもよしというコンセプトです。価格を抑えるため、既存パーツを流用しつつ、ヘビーフレイト/アートトラック用に新規設計されたパーツも投入されています。デカールも充実し、リアリティの向上も図られています。様々なシャーシの組み合わせも可能で、旧デコトラシリーズにはなかったアレンジも可能です。2022年にシリーズが終了しました。

その他のシリーズ

アートトラックシリーズは、実在車両をモデル化したシリーズで、ヘビーフレイトシリーズをベースとしています。元祖デコトラシリーズは、初期のデコトラモデルを現在のキットやパーツで再現したシリーズです。トラック野郎シリーズは、バンダイとの版権契約に基づき展開されています。ミニデコトラシリーズは、1/60スケールの若年層向けシリーズで、組み立てやすさが特徴です。その他、爆走野郎シリーズ、大型デコトラシリーズ、4tデコトラシリーズ、2tデコトラシリーズ、光るデコトラシリーズ、デコトラバスロケットJr.ロングシリーズ、トラック狂走曲シリーズ、日本縦断デコトラJr.シリーズ、爆走デコトラ野郎シリーズ、爆走デコトラ列伝Jr.シリーズ、デコバンシリーズなど、数多くのシリーズが過去に展開されてきました。

まとめ

青島文化教材社のデコトラシリーズは、長年に渡り進化を続け、多くのファンを魅了してきたプラモデルシリーズです。多様な車種、シリーズ、スケール展開により、初心者から上級者まで幅広い層に楽しさを提供しています。これらのプラモデルを通して、日本のデコトラ文化に触れ、自分だけのオリジナル作品を創造できる点が大きな魅力と言えるでしょう。今後も新たな展開に期待したいところです。

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