デジ

デジ：歴史と文化が交錯するルーマニアの古都

デジ（ルーマニア語: Dej）は、ルーマニア北西部、クルージュ県に位置する都市です。クルージュ＝ナポカの北約60kmに位置し、ソメシュル・マーレ川とソメシュル・ミク川の合流地点に開けた交通の要衝として発展してきました。ハンガリー語ではデーシュ（Dés）、ドイツ語ではデシュ（Desch）またはブルクロス（Burglos）と呼ばれています。

歴史

デジは小高い丘に築かれた街であり、古来より岩塩坑によって栄えてきました。ローマ時代にはすでに岩塩が採掘されていたことが、発見された岩塩の塊からわかっています。1214年から1235年にかけては、デジ要塞が築かれました。

13世紀には、ハンガリー王アンドラーシュ2世によって自由王立自治都市に指定されましたが、1241年にはタタール人の侵略を受けました。かつて街の繁栄を支えた岩塩坑は1717年に枯渇しましたが、その後新しい塩坑が開発され、現在も稼働しています。全長15km以上にも及ぶ坑道も存在すると言われています。

中世以降、デジにはドイツから来たトランシルヴァニア・ザクセン人が多く居住しましたが、その数は徐々に減少していきました。17世紀には、プロテスタント運動の中で生まれたサバタリアン（安息日厳守主義者）に対する裁判が開かれ、死刑判決が下されました。1717年には、クリミア・タタール人の襲撃を受けています。

1876年から1920年まではハンガリー王国のソルノク＝ドボカ県の中心地として、1920年から1940年まではルーマニアのソメシュ県の中心都市として機能しました。

人口

2010年時点で最新の国勢調査（2002年）によると、デジの人口は3万8478人です。そのうち85%がルーマニア人、14.1%がハンガリー人、0.9%がその他となっています。

観光スポット

デジには、歴史的な建造物や文化的なスポットが点在しています。

ハンガリー改革派教会：15世紀に建てられた石造りのゴシック様式の教会で、街のランドマークとなっています。高さ72mの塔を持ちますが、16世紀に補強された壁は1880年代の修復で撤去されました。
フランシスコ会修道院：改革派教会の近くに位置しています。
シナゴーグ：改革派教会の近くに置かれた大規模なシナゴーグ（ユダヤ教の礼拝堂）です。しかし、第二次世界大戦中には悲劇的な出来事が起こりました。1944年、デジとその近郊に住むユダヤ人約8000人が集められ、近くの森へ連行された後、アウシュヴィッツ強制収容所へ送られました。当時、デジ市民の4人に1人はユダヤ人でしたが、2008年にはわずか5人しか残っていません。シナゴーグの入り口には、ファシスト政権の犠牲者となったユダヤ人を追悼する碑が建てられています。
テオドル・ミハリー博士記念館、アレクサンドル・ヴァイダ＝ヴォエヴォド博士記念館：デジ出身の著名人の記念館です。
* オクナ・デジ塩坑：運動器疾患や骨軟化症に効果があるとされる塩坑です。観光客にも人気があります。

デジは、歴史的な建造物や美しい景観、そして多様な文化が息づく魅力的な都市です。しかし、過去には悲しい歴史も経験しており、その記憶を忘れないようにする必要があります。訪れる際には、これらの歴史と文化に触れ、デジの魅力を深く感じてみてください。

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