デジモンアドベンチャーVテイマー01

デジモンアドベンチャーVテイマー01

『デジモンアドベンチャーVテイマー01』（DIGIMON ADVENTURE V-Tamer 01）は、原作を井沢ひろし、漫画をやぶのてんやが担当し、本郷あきよしが監修を務めた日本の漫画作品です。集英社の月刊誌『Vジャンプ』にて、1999年1月号から2003年10月号にかけて約5年間にわたり連載されました。テレビアニメ『デジモンアドベンチャー』の放送開始に先駆けてスタートした、デジモンシリーズにおける重要な漫画作品の一つです。

概要

本作は、アニメ『デジモンアドベンチャー』とほぼ同時期に展開が始まったことから、当初は両作品間での整合性が模索されました。しかし、物語の進行に伴い、アニメ版の続編『デジモンアドベンチャー02』のキャラクターが登場する番外編を描く際に、互いの世界を「パラレルワールド」として扱う設定が導入されました。これにより、本作の主人公である八神太一は、アニメ版と同姓同名かつ酷似したデザインでありながら、異なる世界の同一人物として位置づけられています。

デジモンシリーズの多様なメディア展開の中で、本作はいくつかの独自の特徴を有しています。例えば、登場するデジモンの一部には、種族名とは別に進化しても変わらない固有の名前が付けられています。また、アニメ版で多く見られた頻繁な進化・退化とは異なり、原則として一度進化したデジモンは退化しない（一部例外あり）という、よりデジモン本来の設定に近い描写がなされています。

物語はデジタルワールドを舞台に繰り広げられますが、後にテレビアニメ『デジモンアドベンチャー02』の主人公・本宮大輔や、ワンダースワン用ゲーム『ブレイブテイマー』の主人公・秋山遼、テレビアニメ『デジモンフロンティア』の主人公・神原拓也といった、他作品のキャラクターとのクロスオーバーも実現しています。さらに、アニメ『デジモンアドベンチャー:』の放送開始を記念して、『Vジャンプ』2020年7月号には、本作の太一と『アドベンチャー:』の太一が共演する新作読切「～新たなる勇気～」が掲載されました。

連載当初は全てのページがカラーでしたが、中盤以降は扉絵のみカラーとなり、本編は一色刷りでの掲載となりました。

ストーリー

物語は、人間界の少年・八神太一が、ゲーム機にプログラムされていない特別なデジモン、ブイドラモン（ゼロマル）を育てていたことから始まります。彼はデジタルワールドの守護者であるホーリーエンジェモンによって、デジタルワールドの広大なフォルダ大陸へと召喚されます。フォルダ大陸では、魔王型デジモンであるデーモンが、伝説の存在「超究極体」の復活と人間界・デジタルワールド双方の支配を目論み、平和を脅かしていました。デーモンの野望を阻止するためには、フォルダ大陸中に散らばる五つの「Vテイマータグ」を集める必要があります。こうして、勝率100%を自称するテイマー・太一と、そのパートナーであるゼロマルの「100%コンビ」による壮大な冒険が幕を開けます。

主要登場人物と用語

八神 太一

本作の主人公。ホーリーエンジェモンによってデジタルワールドへ招かれた小学5年生（読切では6年生）。「100%テイマー」を自称し、銀色のデジヴァイス01を所持しています。単なる熱血漢ではなく、不利な状況でも冷静に分析し、的確な指示や作戦で活路を開く頭脳派の一面も持ち合わせています。トレードマークのゴーグルは祖父の戦友から受け継いだものです。底抜けに明るい性格で、嬉しいことがあるとパートナーのゼロと一緒に歌って踊ることがあります。作中では名前がほとんどカタカナで表記されます。

ゼロマル（ブイドラモン）

太一のパートナーデジモン。普段は「ゼロ」と呼ばれています。ゲーム機にプログラムされていない謎の種族とされていましたが、その正体は「古代種」と呼ばれる古い種族です。古代種は気性が荒く、構成データ「オーバーライト」が激しい特性を持ち、感情が高ぶると強烈な力を発揮できます。しかし、オーバーライトの激しさは寿命を縮めるという代償も伴います。物語開始時は成熟期のブイドラモンでしたが、冒険の中で完全体のエアロブイドラモン、究極体のアルフォースブイドラモン、そしてアルフォースブイドラモン超究極体（フューチャーモード）へと進化を遂げます。特にエアロブイドラモンへの進化後は、格上のデジモンとも互角以上に渡り合える能力を獲得しました。生死をさまよう状況から、0と1を再生する聖なるオーバーライト「アルフォース」の力で再生し、究極体へ進化するなど、その秘めた力は物語の鍵となります。

デーモン

本作の主要な敵対者。超究極体の復活と両世界の支配を目論む魔王型デジモンです。デジタルワールドの根幹を成す0と1の配列を操る力を持つ強力な存在。アルカディモンを利用するつもりが、逆にアルカディモンに喰われたように見えましたが、実際にはその内部からアルカディモンのデータを書き換え、自身が超究極体となって復活しました。最終的には、超究極体へと進化したゼロに敗れ去ります。

彩羽 ネオ

もう一人の重要なテイマー。13歳の天才少年で、デーモンによって超究極体育成のために人間界から召喚されました。黒いデジヴァイス01を所持し、現実世界では無敗を誇っていましたが、太一との引き分けを屈辱と感じ、太一に勝利することに異常に固執します。徹底した非情かつ冷酷な合理主義者であり、パートナーデジモンの心理を顧みることなく、自身の目的のためには他者を平気で利用・抹消します。固定のパートナーは持たず、デーモン軍配下のデジモンを同時に操り、二体以上のデジモンを合体させる「ジョグレス」や分離させる「パーティション」を繰り返す独自の戦術「無限ジョグレス」を開発しました。妹であるレイの事故をきっかけに現実世界を憎み、デーモンを利用して自身の歪んだ理想郷を築こうとしましたが、最初からデーモンに利用されていたに過ぎませんでした。

アルカディモン

デーモンによって復活させられ、ネオによって育成された圧倒的な力の超究極体デジモン。敵を捕食することで進化を続け、最終的にはデジメンタルの力も利用して完全な超究極体となります。

デジヴァイス01

データの送受信やスキャン、コマンドアップリンクなど、様々な機能を持つ携帯コンピュータ。太一はホエーモンから「追加プログラム」として授かりましたが、ネオやエイリアスIIIのメンバーも同様のものを所持しています。腕に装着するタイプが基本ですが、マリは手持ちタイプを使用。ネオや秀人は両腕に装着し、複数のデジモンを操るために使用します。特にネオはこのデジヴァイス01を用いて「無限ジョグレス」という独自の戦法を編み出しました。

デジメンタル

超究極体への進化を可能にする特別なアイテム。テイマーが操る究極体クラスのデジモン同士の戦闘によって発生したエネルギーを蓄積することで活性化します。テレビアニメ『デジモンアドベンチャー02』に登場する同名のアイテムとは完全に別物であり、人間の「正しい想い」によってのみ機能するという設定があります。

オーバーライト／アルフォース／古代種

デジモンの感情の変化が構成データに書き換えとして現れる現象が「オーバーライト」です。古代種は気性が荒く、このオーバーライトが特に激しいため、身体能力が大幅に上昇する反面、頻繁な書き換えは寿命を著しく縮めます。一方で、デジモンの強い想いや喜びによって発生する聖なるオーバーライトが「アルフォース」と呼ばれ、強力な回復能力や進化を促す力を持ちます。古代種は古来よりデジタルワールドに存在する種族ですが、オーバーライトの激しさから完全体以上への進化は困難とされ、究極体に至る古代種は古文書にも記録がないほどの幻の存在とされています。

超究極体

世界の生態系バランスを容易に崩壊させるほどの規格外の力を持つ存在。通常の進化でこの領域に達するのはアルカディモンのみとされていますが、アルカディモンを吸収したデーモンや、デジメンタルを用いることでゼロ（アルフォースブイドラモン）もこの形態に到達しました。他メディアで「超究極体」という言葉が使用されることがありますが、本作におけるその定義や意味合いは異なる場合が多いです。

この作品は、デジモン本来の設定への回帰と、パラレルワールド設定を活かしたクロスオーバー、そして個性豊かなキャラクターたちのドラマが見どころであり、多くのファンに愛されています。

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