ワンダースワン

ワンダースワンの歴史と特徴

概要

1999年3月4日にバンダイが発売した「ワンダースワン」は、価格が4,800円と手頃で、多くのゲームファンの注目を集めました。これは当時の据置機で最も安い商品に対抗する形として発売されたもので、略称は「WS」と呼ばれています。上位機種として「ワンダースワンカラー」や「スワンクリスタル」が登場し、進化を続けました。

ワンダースワンの開発には、任天堂のゲームボーイを手掛けた横井軍平氏が関わったコト社が大きな役割を果たしました。ワンダースワンのロゴは白鳥座の星雲を表現しており、中央の点はブラックホールを象徴しています。開発者の大下聡氏は「全ての力を吸い上げたい」という思いを込めてデザインしたと語っています。

発売当初は、前年に発売されたゲームボーイカラーやネオジオポケットカラーに対抗し、敢えてモノクロ仕様で市場に送り出しました。これは電池の持ちやコストを重視したためですが、その背景にはカラー化が求められる時代の流れがありました。実際、翌年にはワンダースワンカラーを発売し、カラーゲーム機へと進化しました。

市場での位置付け

ワンダースワンは、子ども向けのゲームボーイ、マニア向けのネオジオポケットとは異なり、若者向けのスタイリッシュなイメージを売りにしました。特に、デビューイベント「ワンダースワン デビューカーニバル in AKIHABARA」は大盛況を記録し、参加したファンが多数集まりました。発売から2ヶ月で本体販売台数は60万台を超え、特に若い女性からの人気を集めました。

ただし、その後、ワンダースワンカラーのタイトル不足や、後発のゲームボーイアドバンスによる影響で、ワンダースワンは次第に存在感を失っていきました。

発表とデザイン

1998年の発表会では、低価格で軽量なデザインを強調し、電池一本で1日以上使用可能な省電力の機能をアピールしました。ターゲットは主に15歳から19歳のティーンエイジャーで、華やかなパフォーマンスで会場を盛り上げました。

ハードウェアと操作

ワンダースワンは、特異なデザインで、縦にも横にも持てる設計が施されています。操作にはA・B・X・Yボタンが使用され、ゲームに応じた持ち方を選択してプレイすることができます。たとえば、縦持ちでプレイ可能なゲームも用意されています。

本体には内蔵EEPROMがあり、個人情報の登録が可能で、起動時には登録した名前が表示されます。また、電源を入れると「キュイーン」というサウンドが鳴るため、初めての体験となるしょう。

ソフトウェア

ワンダースワンのローンチタイトルには『GUNPEY』や『チョコボの不思議なダンジョン』などがあり、その後も多くのソフトが登場しました。特に『ファイナルファンタジー』シリーズは人気がありました。しかし、フルカラー移行が進む中で、タイトル数が不足し全体的に厳しい状況となりました。

周辺機器

周辺機器も充実しており、赤外線通信アダプタや開発環境を提供するツールが用意されていました。それにより、ゲームだけでなく周辺機器を活用した楽しみ方も可能となりました。

最後に

2003年、ワンダースワンは事実上の撤退となり、最後の機種「スワンクリスタル」は受注生産へ移行しました。ワンダースワンは海外では販売されなかったものの、独特なデザインとユーザー体験を提供し、多くのファンに愛されたゲーム機としてその名を残しています。

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