デチェンヴィリ祭壇画

『デチェンヴィリ祭壇画』について

『デチェンヴィリ祭壇画』（伊: Pala dei Decemviri）は、イタリア・ルネサンス期の巨匠、ピエトロ・ペルジーノによって制作された祭壇画です。現在はローマのヴァチカン美術館に所蔵されています。この作品は、ペルージャの十人委員会によってパラッツォ・デイ・プリオリの礼拝堂のために依頼され、1495年から1496年にかけて制作されました。

もともと、この祭壇画の上には、現在ウンブリア国立絵画館に所蔵されている『ピエタ』(87 x 90 cm) が置かれていました。この配置からも、祭壇画全体が宗教的な空間を構成する上で重要な役割を担っていたことが伺えます。

作品の構成と特徴

祭壇画は、装飾と浮彫が施されており、中央には高い玉座に腰かける聖母マリアが描かれています。聖母の背後には、穏やかな丘陵が広がる明るい風景が描かれ、作品全体に柔和な印象を与えています。聖母は幼子イエスを抱いており、その姿はペルジーノの他の作品、『ファーノの祭壇画』と類似した構図となっています。

聖母の傍らには、聖ラウレンティウス、トゥールーズのルイ、ペルージャのヘルクラヌス、コンスタンティウスといった聖人たちが配されており、聖母を中心とした宗教的な階層構造を形成しています。

また、柱廊のモチーフは、ペルジーノが15世紀後半に制作した他の作品にも見られる特徴的なものです。例えば、『アルバーニ・トルロニアの多翼祭壇画』や『キリストの哀悼』（ウフィツィ[[美術館]]所蔵）などでも同様のモチーフが用いられています。ペルジーノは、人物像や建築物など、同じ型のモチーフを繰り返し使用する傾向があり、これが彼の作品の個性を際立たせています。

ペルジーノの画風

ペルジーノの作品は、均整のとれた構図、優美な人物描写、そして静謐な雰囲気によって特徴づけられます。特に、本作では、聖母の穏やかな表情や、背景の風景の繊細な描写に、ペルジーノの卓越した技術が表れています。ルネサンス美術の精神が息づく彼の作品は、現在でも多くの人々を魅了し続けています。

まとめ

『デチェンヴィリ祭壇画』は、ピエトロ・ペルジーノの代表作の一つとして、美術史において重要な位置を占めています。その優美な構図、宗教的な深み、そしてペルジーノ特有の画風は、見る者に深い感動と静謐な思索を与えてくれます。

参考文献

* Garibaldi, Vittoria (2004). “Perugino” (Italian). Pittori del Rinascimento. Florence: Scala

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