デッドボール時代

デッドボール時代の概要

デッドボール時代（1900年前後から1919年）は、メジャーリーグベースボールにおいて本塁打が極端に減少した時期を指します。この期間、選手たちは「飛ばないボール」を使用していたため、ゲームのスタイルが大きく変わり、戦略やプレースタイルが異なるものでした。

デッドボールとは

「デッドボール」とは、当時使われていた弾まないボールに由来します。日本語の「デッドボール」は死球を指す言葉として使われていますが、英語では本来の意味とは異なります。この時代、メジャーリーグでは得点や本塁打の数が劇的に減少しており、特に1908年には一試合あたりの平均得点がわずか3.4に達しました。

得点低下の要因

デッドボール時代の得点が低下した要因は複数あります。その一つとして、1901年にナショナル・リーグが「ファウルをストライクとしてカウントする」というルールを導入したことがあります。その後アメリカン・リーグも同様のルールを採用し、打者に不利な状況が生まれました。また、ボール自体の性質も影響していました。

当時のボールは試合中に何度も使われ、グラウンドに投げ返されることも多かったため、劣化が進むと打球が飛びにくくなっていました。さらに、スピットボールが認められていた時期でもあり、投手は様々な手段でボールを操作することができました。

球場のサイズも得点に影響を与えました。多くの球場が広大で、たとえばシカゴ・カブスのウエスト・サイド・パークは560フィート（約170メートル）もの距離がありました。このような広さが、長打を打つことをさらに難しくしたのです。

スタイルの変化

デッドボール時代の野球では、スモール・ベースボール、つまり少ない得点でも勝利を目指す戦略が重視されていました。盗塁やヒットエンドランといったプレーが、ホームランに代わって多く用いられました。この時期、盗塁が非常に多く、本塁打の出にくい広大な球場でプレイしているため、選手たちは速さを活かした戦術を取ることが求められたのです。

本塁打王と記録

デッドボール時代における最高の本塁打バッターはフィラデルフィア・フィリーズのギャビー・クラバスで、彼はナショナル・リーグで6度本塁打王に輝き、1915年には自己最高の24本を記録しました。しかしながら、彼が活躍したベイカー・ボウルは打者に非常に有利な球場で、右翼フェンスまでの距離がわずか280フィート（約85メートル）だったため、その背景にも考慮が必要です。

時代の転換

デッドボール時代はルールの改正や新たな選手の登場によって徐々に終了を迎えました。特にベーブ・ルースの登場が大きな転機となり、1919年には当時のアメリカンリーグ記録となる29本の本塁打を記録しました。これにより、徐々にホームランが量産されるライブボール時代へと移行していくことになります。

このように、デッドボール時代はメジャーリーグベースボールの歴史において特異な時代であり、野球のスタイルや得点法則が大きく変わるきっかけとなった重要な時期でした。

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