デッドモール

デッドモールの概念と現状

デッドモール、すなわち「廃虚モール」とは、ショッピングモールの中でテナントの撤退が相次ぎ、稼働率が非常に低い状態にある店舗を指します。時には、営業が続けられている一方で、完全に閉鎖された状態のモールも存在します。日本においてもデッドモールの問題が顕在化してきています。

デッドモールの要因

デッドモールの増加の背景にはさまざまな社会的、経済的要因があります。主な原因には、ECサイトの利用増加やスマートフォンの普及が挙げられます。また、ライフスタイルの変化や独身化、少子高齢化といったニーズの変化に加え、都心回帰の流れから郊外のモールの顧客が減少しています。さらに、若者の車離れや、自家用車を運転できない高齢者の増加が特に地方のロードサイド店舗に影響を及ぼし、客足を遠のかせています。

アメリカでは、小売業全体が低迷し、多くのショッピングモールが「デッドモール」と化しています。例えば、アメリカでは一人あたりの小売面積が約2.2平方メートルにも達し、需要の2倍から3倍の供給があるとされ、これがモールの成り立ちに影響を与えています。

日本におけるデッドモールの現状

日本では1980年代後半から1990年代前半にかけて、バブル経済に伴う大型再開発が進みました。この時期、多くのショッピングモールが郊外にオープンし、無料駐車場が完備されたことで、地方部の商業施設は流行していました。しかし、2010年代以降は長引く不況や競争の激化により、どんどん店舗が撤退していく現状が見受けられます。

世界のデッドモール事例

アメリカ合衆国 では、幾つかの有名なデッドモールが存在します。

• - ランドーバー・モール（メリーランド州）：1972年にオープンし、初めは賑わっていましたが、1990年代以降に主要テナントが撤退し、2006年には解体が始まりました。
• - リンカーン・モール（イリノイ州）：1973年に開業し、2015年には閉鎖されました。

中国においてもデッドモールの例が見られます。

• - 新華南モール（東莞市）：2005年にオープンし、当初は世界最大のモールとされていましたが、商圏の需要不足により機能停止状態になりました。
• - ヒマラヤズセンター（上海）：2015年に開業したが、入居テナントの大部分が撤退し、他の用途への転用が模索されています。

日本における具体的な事例

日本でも著名なデッドモールがあります。

• - ピエリ守山（滋賀県）：2008年にオープンしたが、リーマン・ショックの影響と競合の激化で、わずか3店舗のみが残る状態になりました。
• - LCワールド本巣（岐阜県）：1992年にオープンしたものの、利便性の問題から2015年にはすべてのテナントが撤退しました。
• - イオンモール名古屋みなと（愛知県）：周辺に競合が多く、2021年に閉店しましたが、再開の可能性が示唆されています。

このように、デッドモールの問題は日本や世界中で見られる経済現象であり、商業施設の今後の在り方を考える上で重要なテーマです。消費者のライフスタイルや価値観が変化する中で、どのようにしてショッピングモールが顧客を引きつけ、再生していくのかが問われています。

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