デビッド・コティ

デビッド・コティ（David Kotey）は、1950年12月7日、西アフリカのガーナ共和国、その首都であるアクラで生を受けた元プロボクサーである。

キャリア初期

1966年2月5日、弱冠15歳にしてプロのリングにその第一歩を踏み出した。若い頃にサッカーで鍛えたという、その機敏なフットワークとスピードを活かした独特のボクシングスタイルを確立し、母国ガーナ国内で着実にキャリアを積み重ねていった。

世界王座獲得

プロ転向から約9年後の1975年9月20日、デビッド・コティは世界ボクシング評議会（WBC）世界フェザー級のタイトルに挑戦する機会を得た。相手は当時の絶対王者であり、「石の拳」の異名を持つメキシコの英雄、ルーベン・オリバレス。敵地メキシコでの大一番となったが、コティは臆することなく持ち前のスピードと技巧を駆使。オリバレスの強打を巧みに避けつつポイントを稼ぎ、15ラウンドを戦い抜いた末に判定勝ちを収めた。この劇的な勝利により、ガーナ人として世界王座を獲得するという歴史的な快挙を成し遂げたのである。

2度の王座防衛

世界チャンピオンとなったコティは、精力的に防衛戦を行った。最初の防衛戦は1976年3月6日、自らのホームタウンであるガーナのアクラで開催された。挑戦者には、日本のフリッパー上原を迎えた。コティは地元の大観衆の声援を背に、終始優位に試合を進め、12ラウンドに上原をマットに沈めKO勝利。見事初防衛を飾った。

さらに同年7月16日、コティは2度目の防衛戦のために来日。日本のボクシングの聖地、東京の後楽園ホールで日本の挑戦者シゲ福山と対戦した。コティはここでもそのスピードとパンチ力を遺憾なく発揮し、わずか3ラウンドで福山をKOするという衝撃的な勝利を飾った。これにより、日本人挑戦者相手に2連続でKO防衛という偉業を達成し、日本のボクシングファンにもその強烈な印象を残した。

王座陥落とその後

破竹の勢いで王座を守り続けていたコティであったが、1976年11月6日に行われた3度目の防衛戦で試練を迎える。相手は、後にWBC世界フェザー級およびスーパーフェザー級の2階級を制覇するアメリカの強打者、ダニー・ロペスであった。激しい攻防が繰り広げられたが、結果は判定でコティの敗北。惜しくも王座から陥落した。この試合は、新旧の強豪が激突した名勝負として語り継がれている。

王座を失った後も、デビッド・コティは現役ボクサーとしてリングに上がり続けた。キャリアの晩年にはかつての輝きは失われたものの、長きにわたりプロの戦いを続行。そして、1989年1月1日に行われた試合を最後に、プロボクサーとしてのキャリアに終止符を打ち、リングを去った。

デビッド・コティは、そのスピードと技巧的なボクシングでガーナに初のボクシング世界王座をもたらし、多くの人々に希望と感動を与えた偉大なボクサーとして、今なおその名が記憶されている。

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