デビッド・ダグラス・ダンカン

デビッド・ダグラス・ダンカン：報道写真家、戦場カメラマン、そしてピカソの友人

デビッド・ダグラス・ダンカン（1916年1月23日 - 2018年6月7日）は、激動の20世紀を駆け抜けたアメリカの報道写真家です。太平洋戦争、朝鮮戦争、ベトナム戦争という三大戦争に従軍し、そのレンズを通して戦場の現実を世界に伝えました。また、パブロ・ピカソとの親交を深め、そのポートレートや作品を数多く撮影したことでも知られています。さらに、日本の光学技術を世界に広めた功績も見逃せません。

戦場カメラマンとしての軌跡

1943年、アメリカ海兵隊予備役少尉に任官したダンカンは、太平洋戦争に従軍。沖縄戦や戦艦ミズーリ号上での日本の降伏調印式など、歴史的な瞬間をカメラに収めました。朝鮮戦争では、その過酷な現実を捉えた写真集『This is War!』を出版し、大きな反響を呼びました。ベトナム戦争においても、戦場の悲惨さを告発する写真集を発表するなど、一貫して戦争の非情さを訴え続けました。

ピカソとの出会い

1956年、ダンカンはパブロ・ピカソと出会い、深い親交を結びました。ピカソの晩年を過ごした南フランスに居を構え、その創作活動や日常を記録し続けました。生前にピカソの作品を撮影することを許された唯一の写真家として、数々の貴重な写真集を出版し、ピカソの芸術を世界に広めることに貢献しました。

ニコンとの出会い

1950年、ダンカンは写真家の三木淳と村井龍一の紹介で、日本光学（現ニコン）のニッコールレンズに出会いました。当初は日本製レンズに懐疑的だったダンカンですが、その描写力に感銘を受け、愛用するようになります。朝鮮戦争では、ニッコールレンズを装着したカメラで数々の写真を撮影し、その性能を世界にアピールしました。ニコンは、ダンカンを「ニコンが世界に認められるきっかけを生み出した大恩人」と評しています。

その他の活動と晩年

報道写真家としてだけでなく、作家としても活動し、自伝や写真集を多数出版しました。2018年、フランスの病院で102歳で亡くなるまで、写真への情熱を持ち続けました。彼の作品は、戦場の現実を伝える貴重な記録であるとともに、20世紀の芸術と文化を彩る重要な遺産として、後世に語り継がれるでしょう。

主な作品

This Is War! (1951年)
The Private World of Pablo Picasso (1958年)
Yankee Nomad (1966年)
I Protest! (1968年)
* War Without Heroes (1970年)

もう一度検索