デビルクエスト

デビルクエスト

『デビルクエスト』（原題：Season of the Witch）は、2011年に制作されたアメリカ合衆国のファンタジー映画です。ドミニク・セナが監督を務め、俳優ニコラス・ケイジが主演を務めました。物語の舞台は暗黒の14世紀ヨーロッパ。ペストが猛威を振るう時代に、元十字軍の戦士たちが、恐ろしい疫病の原因とされる魔女の疑いをかけられた一人の少女を、遠く離れた修道院へと護送するという危険な任務に挑む姿を描きます。

公開・発売情報

日本では、2011年7月30日から角川シネマ有楽町などで全国順次劇場公開されました。その後、同年12月2日には、角川書店よりスペシャル・エディションDVDおよびBlu-ray Discが同時発売されています。

ストーリー

物語の序章は西暦1235年にさかのぼります。フィラッハの町では、カトリック教会による激しい魔女狩りが行われ、多くの罪なき女性たちが謂れのない罪で処刑されていました。処刑を執行する神父は、古代の聖典『ソロモンの書』を用いた祈祷で死体の蘇りを防ごうとしますが、その最中に川に捨てられた遺体の一つが驚異的な力で蘇り、『ソロモンの書』を焼き払い、神父を殺害するという異様な出来事が発生します。

それからおよそ一世紀後、中東の十字軍の中に騎士ベイメンとフェルソンの姿がありました。当初は武勲を競い合うほど戦いを楽しんでいた二人でしたが、終わりの見えない過酷な戦いは彼らを疲弊させていきます。西暦1344年、スミルナ攻略戦において、「異教徒は根絶やしにせよ」という騎士団の方針に従い市街地に突入したベイメンは、乱戦の中で誤って非武装の女性を殺めてしまいます。無抵抗の市民をも無差別に殺戮することを「神の栄光」と称揚する騎士団の方針に強く反発したベイメンとフェルソンは、信仰心を失い、騎士の身分を捨てる決意をして騎士団から脱走します。

放浪の末、故郷スティリアに戻った二人は、この地がペストの大流行により甚大な被害を受けていることを知ります。補給のため立ち寄った町で脱走騎士であることが露見し逮捕されますが、彼らの武勇を聞き及んでいたダンブロワーズ枢機卿から、赦免と引き換えにある任務を依頼されます。それは、ペストの原因とされる「黒い魔女」として捕らえられている少女を、ペストの流行を止められるとされる聖典『ソロモンの書』が保管されているセヴラック修道院まで護送するというものでした。捕らえられていたのは、魔女の嫌疑をかけられた一人の可憐な少女でした。

ベイメンとフェルソンは、少女がペストの原因であると信じるデベルザック神父、ペストで家族を失った騎士隊長エッカート、騎士に憧れる枢機卿の従者カイ、そして道中案内人の詐欺師ハガマーと共に、少女を監禁した檻を引く馬車を守りながらセヴラック修道院への旅に出ます。拷問による自白強要を疑い、少女に同情的なベイメンは公平な裁判を約束しますが、道中で少女から次々と不可解で超常的な現象が引き起こされるようになります。まず、魔女狩りに懐疑的だったエッカートが不用意に檻に近づいた際、少女は驚くべき怪力で彼を襲い鍵を奪って脱走します。彼女を追跡する最中、エッカートは死んだはずの娘の幻影に囚われたかのように、カイの剣に自ら身を投じて命を落とします。セヴラック修道院への近道である「苦悩の森」では、少女が狼の群れを呼び寄せ一行を襲わせ、ハガマーが犠牲となります。もはや少女が魔女であることは疑いようがありませんでした。

ようやくセヴラック修道院に到着した一行でしたが、修道僧たちは既にペストで全滅していました。礼拝堂で『ソロモンの書』を発見した一行は、古代文字を読めるデベルザック神父が魔女を払う祈祷を行うことになります。神父が詠唱を始めると、少女は言葉遣いが一変し、教会を罵倒します。その言動から彼女の正体に気付いたデベルザック神父は慌てて『ソロモンの書』から別の項目を探し出します。彼が開いたのは「悪魔祓い」のページでした。少女の正体は、魔女などではなく、遙かに恐ろしい悪魔憑きだったのです。

デベルザック神父が悪魔祓いの詠唱を開始すると、遂に少女に憑依していた悪魔がその姿を現します。悪魔は不思議な力で檻を破壊して脱出し、一行に襲いかかりますが、神父が振りかけた聖水に怯み修道院の奥へと逃げ込みます。ベイメンはただの付き添いであるカイに逃げるよう促しますが、「誓いは死んでもやり遂げなければ意味がない」と言うカイに騎士としての資質を見出し、彼をその場で騎士に叙任します。

悪魔が逃げ込んだ修道院の最上階へと向かう途中、一行は疑問を抱きます。もし悪魔にあの力があるなら、なぜこれまでの道中で逃げ出さなかったのか、なぜ魔女のふりをしていたのか、と。最上階に到達した彼らが見たのは、ペストで命を落とした多数の修道僧たちの遺体でした。彼らは『ソロモンの書』を複製し、ペストを撲滅しようとしていたのです。ここで悪魔の真の目的が明らかになります。その目的は、強大な力を持つ『ソロモンの書』を破壊し、現世から消滅させることにありました。その在り処を知るため、悪魔は少女に憑依し、魔女を装って教会の者たちに修道院へと案内させていたのです。

『ソロモンの書』を何としてでも守ることを決意した一行の前に、巨大なコウモリのような姿に変貌した悪魔と、悪魔に操られ蘇った修道僧の死体が立ちはだかります。壮絶な戦いの中、悪魔祓いの詠唱を続けていたデベルザック神父が悪魔に首を折られて殺され、ベイメンの危機を救ったフェルソンもまた悪魔の炎に焼かれて灰となります。デベルザック神父の意志を継ぎ、カイが必死に詠唱を続けます。ベイメンは彼の詠唱を助けるため、自らの命を顧みず悪魔に組み付き抑え込みます。悪魔の翼の角で何度も体を貫かれながらも、ベイメンは悪魔を拘束し続けます。遂に悪魔祓いの詠唱が完了すると、悪魔は少女の体から弾き出され、炎に包まれて消滅しました。致命傷を負ったベイメンは、少女を託す言葉を残し息を引き取ります。

悪魔から解放された少女アナと共に、ベイメン、フェルソン、デベルザック神父を弔ったカイは、『ソロモンの書』を持ち帰り、世界をペストの脅威から救いました。そして、アナは世界を救うために命を落とした英雄たちの物語を後世に伝える語り部となったのです。

キャスト

ベイメン：ニコラス・ケイジ
フェルソン：ロン・パールマン
デベルザック：スティーヴン・キャンベル・ムーア
女（アナ）：クレア・フォイ
ハガマー：スティーヴン・グレアム
エッカート：ウルリク・トムセン
カイ：ロバート・シーハン
ダンブロワーズ枢機卿：クリストファー・リー

ほか

スタッフ

監督：ドミニク・セナ
脚本：ブラギ・シャット・Jr.
音楽：アトリ・オーヴァーソン

ほか

評価

レビュー集計サイトRotten Tomatoesでは123件のレビューに基づき支持率11%と低評価であり、Metacriticでも27件のレビューで加重平均値28/100と、批評家からの評価は芳しくありませんでした。

邦題について

原題『Season of the Witch』が「魔女の季節」という意味で物語の神秘性を保っているのに対し、邦題が『Devil Quest』とされたことにより、物語の核心部分である「悪魔」の存在がタイトルで示唆され、観客にネタバレを与えているという指摘が多くありました。

参考文献・外部リンク

映画.com
allcinema
IMDb

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