デフヘヴン

デフヘヴン (Deafheaven) - ブラックメタルを昇華させた革新的なサウンド

デフヘヴンは、2010年にアメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコで結成されたブラックメタル/ポストメタルバンドです。ジョージ・クラーク（ボーカル）とケリー・マッコイ（ギター）を中心に活動を開始し、独自の音楽スタイルを確立。ブラックメタルの要素に、ポストメタルやシューゲイザーの影響を大胆に取り入れたサウンドは、多くの音楽ファンや批評家から高い評価を受けています。

バンドの歴史

結成と初期 (2010年)

デフヘヴンは、ボーカルのジョージ・クラークとギターのケリー・マッコイによって結成されました。マッコイは以前、グラインドコアバンドで活動していました。バンド名の由来は、シェイクスピアのソネット集29番に登場する言葉からインスピレーションを得たと言われています。当初は金銭的な余裕がなかったものの、自主制作でデモアルバムを制作。このデモは、アコースティックギターを主体としたサウンドで、ブラックメタル、ポストパンク、スクリーモなどの要素が混ざり合った、実験的な作品でした。

デスウィッシュとの契約と『ローズ・トゥ・ユダ』 (2010年-2012年)

自主制作デモが好意的な評価を受けたことをきっかけに、デフヘヴンはベーシスト、ギタリスト、ドラマーを加えて5人編成となり、本格的なライブ活動を開始します。その後、Convergeのヴォーカリスト、ジェイコブ・バノンが設立したレーベル、デスウィッシュと契約。2011年4月には、デビューアルバム『ローズ・トゥ・ユダ』をリリースします。

『ローズ・トゥ・ユダ』は、クラークの過去の経験に基づいた歌詞と、ブラックメタルの激しさと叙情的なサウンドスケープが融合した作品で、各方面から高い評価を受けました。NPR（ナショナル・パブリック・ラジオ）、ピッチフォーク・メディアなどの主要メディアで取り上げられ、デフヘヴンの名を一躍有名にしました。

『サンベイザー』 (2013年)

2013年、デフヘヴンは2ndアルバム『サンベイザー』をリリース。前作以上に、ポストロックやシューゲイザーの要素を前面に押し出したサウンドは、賛否両論を巻き起こしました。しかし、その革新的な音楽性は高く評価され、メタクリティックでは92点という高得点を獲得。多くの音楽メディアで年間ベストアルバムに選出され、デフヘヴンの人気を決定的なものとしました。

アルバムタイトルは、クラークの完璧主義的な性格を反映しており、充足感や美しさの追求、現実との葛藤といったテーマが込められています。

その後の活動

『サンベイザー』以降も、デフヘヴンは精力的に活動を続け、アルバムのリリースやツアーを行っています。2015年には3rdアルバム『ニュー・バミューダ』、2018年には4thアルバム『オーディナリー・コラプト・ヒューマン・ラブ』をリリース。音楽性はより多様化し、ブラックメタルという枠に収まらない独自のサウンドを追求しています。

音楽スタイル

デフヘヴンの音楽スタイルは、ブラックメタルを基盤としながらも、ポストメタル、シューゲイザー、ドリームポップなど、様々なジャンルの影響を受けています。爆発的なブラストビートや、ディストーションギターによる轟音、そして、叙情的なメロディが特徴的です。また、クラークの絶叫と、美しいコーラスワークの対比も、デフヘヴンの音楽の魅力の一つです。

デフヘヴンは、ブラックメタルというジャンルの可能性を押し広げ、新たな音楽の地平を切り開いたバンドとして、今後も注目を集める存在です。

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