デュプレクサ

デュプレクサの概要

デュプレクサ、またはダイプレクサとは、無線通信において送信と受信の信号を分離するための部品です。このデバイスは特にFDD方式の無線機に使用され、通常、送信用と受信用のアンテナを一つのアンテナで共用する際に不可欠です。デュプレクサは、送信信号が受信回路に干渉するのを防ぎ、信号のクオリティを保持するための機能を果たします。この装置は、送信周波数と受信周波数それぞれに対して異なるフィルタを設け、この二つの経路を電気的に効果的に分離します。

構造と機能

デュプレクサは、主に二つのフィルタを融合させた構成をしています。送信用フィルタは送信周波数を通過させ、受信周波数をブロックします。一方で、受信用フィルタはその逆の動作を行い、送信周波数を阻止しつつ受信周波数を通過させます。これにより、送信信号が受信機に混入するのを防ぎます。その接続点はアンテナ端子となり、効果的に二つの周波数帯を統合します。

特に、フィルタのインピーダンス管理が重要です。デュプレクサにおいては、インピーダンスを適切に設定しないと、送信信号が受信回路に影響を与える可能性があります。これを避けるために、接続部に移相器を使用することが多いです。移相器は、通過域のインピーダンスを整え、互いの信号干渉を防ぐ役割を果たします。

また、デュプレクサに使用されるフィルタの種類も多様です。LCフィルタ、空洞共振器フィルタ、ヘリカルフィルタ、誘電体フィルタ、表面弾性波（SAW）フィルタなどがあり、それぞれの特性に応じて選ばれます。特に、SAWフィルタを用いたデュプレクサは、その小型化の利点から近年広く利用されるようになっています。

用途と利用シーン

デュプレクサは、様々な無線通信機器に採用されています。特に携帯電話や業務用無線機、アマチュア無線など、多くの通信規格（GSM、UMTSなど）が共存する環境では必要不可欠です。送受信を切り替える場合、その動作には高周波スイッチが使われることが多いですが、近年ではこの高周波スイッチとデュプレクサを一つのモジュールにまとめた設計も増えています。これにより、通信特性の向上が図られています。

さらに、デュプレクサは同時送受信においても利用され、特に混信を防ぐための役割も担っています。異なる周波数を切り替える、もしくは分配する用途であるため、高い周波数変化には適しています。したがって、特にデータ通信や音声通信の分野で、その重要性は今後さらに高まることが期待されています。

電気的特性

デュプレクサの性能は、挿入損失、VSWR（電圧スタンディング波比）やリターンロス、アイソレーションといった電気的特性で評価されます。これらの特性は、デュプレクサの使用状況や通信環境によって大きく変わるため、システム設計時には特に注意が必要です。

まとめ

デュプレクサは無線通信システムにおいて必須の要素であり、その技術は常に進化しています。デザインや性能が進化する中で、今後の通信技術における役割はますます重要になるでしょう。主なメーカーには村田製作所や京セラがあり、彼らの技術革新がデュプレクサの性能向上に貢献しています。

もう一度検索