高周波スイッチ

高周波スイッチについて

高周波スイッチとは、特に無線通信分野において使用される高周波信号の経路を制御するためのスイッチです。一般的にはRFスイッチとも呼ばれ、特性インピーダンスに整合していることが特徴です。これにより高周波信号を効果的に通過させることが可能になります。また、高周波スイッチには機械式と電子式の2種類が存在し、特に電子式は外部からの制御信号によって高周波信号の経路をオンやオフに切り替えることができます。

用途とニーズ

高周波スイッチは、携帯電話や無線LANなど多様な無線通信機器で、送信と受信信号の切り替えに利用される重要な要素です。ただし、全ての通信システムで必ず使用されるわけではありません。例えば、周波数分割複信（FDD）方式のように、送信と受信で異なる周波数を利用する場合は、空中線共用器（デュープレクサ）が用いられることもあります。

回路構成

高周波スイッチの基礎的な形は、1入力1出力でオン/オフを切り替えるSPST（Single Pole, Single Throw）構造ですが、無線通信機器では通常、送信と受信を切り替えるSPDT（Single Pole, Double Throw）以上の構造が採用されています。最近では、複数の機能を集約した機器が多く登場し、4x4スイッチやSP8Tスイッチのように、多数の送受信およびアンテナを切り替える多ポートスイッチが実用化されています。

回路素子の種類

デュプレクサ

デュプレクサはスイッチの一種ではなく、主にフィルタとして機能します。特にCDMAやW-CDMAのような異なる周波数で送受信するシステムの切り替えに使われることがあり、高周波スイッチと組み合わせて使用されることがあります。

ダイオードスイッチ

ダイオードスイッチは、ダイオードの特性を利用して構成されています。ダイオードの両端に抵抗やインダクタを使用してバイアスをかけることで、オンオフを切り替えることが可能です。主にPINダイオードが使われ、最大通過パワーはP1dBで定義されます。ダイオードスイッチは低コストである一方、消費電力が大きいといった欠点があります。

FETスイッチ

FETスイッチはGaAsのHEMTやMESFETを用いており、ダイオードに比べて消費電力が小さく、複雑な回路設計が可能です。そのため高機能な製品ではFETスイッチが普遍的に選ばれますが、コストの観点からはダイオードスイッチが使用される場合も多いです。

MEMSスイッチ

MEMS（微小電気機械システム）技術を用いたスイッチもあります。この技術を用いることで、高性能なスイッチが可能になりますが、物理的な耐久性が課題とされており、まだ研究段階にある製品が多いです。

関連項目

高周波スイッチは、携帯電話や無線LAN、無線機といった現代の通信機器に欠かせない技術です。それぞれの通信方式に応じた最適なスイッチの選択が、無線通信の効率と性能に大きな影響を与えます。

もう一度検索