デュボア・デプラ

デュボア・デプラ（Dubois et Depraz 、DD）は、スイスの時計製造における重要な役割を担ってきたムーブメントメーカーです。その歴史は1901年1月1日に、マルセル・デプラ（Marcel Depraz ）がスイスのル・リュー（Le Lieu ）に設立した「マルセル・デプラ」（Marcel Depraz Société Individuelle ）に遡ります。

創業以来、デュボア・デプラは、高度な技術力と革新的な精神で、数々の有名時計ブランドに高品質なムーブメントを供給してきました。特にクロノグラフムーブメントにおいては、ブライトリング、ケレック（Kelek ）、ミネルバ、ユリスナルダン、ウォルサムなど、名だたるブランドがデュボア・デプラの製品を採用していました。これらのブランドの時計は、デュボア・デプラのムーブメントによって、その精度と信頼性を高め、時計史に名を残すこととなりました。

デュボア・デプラの名を不朽のものとしたのは、世界初の自動巻腕時計クロノグラフ「キャリバー11」（Caliber 11 ）の開発への貢献です。ブライトリング、ホイヤー・レオニダス（Heuer-Leonidas 、現タグ・ホイヤー）、ハミルトン・ビューレン（Hamilton-Buren 、現ハミルトン）といった、当時の時計業界を牽引する企業と共同で開発されたキャリバー11は、それまでの手巻き式クロノグラフの常識を覆し、腕時計の可能性を大きく広げました。この革新的なムーブメントは、時計業界に大きな衝撃を与え、その後の自動巻クロノグラフの発展に多大な影響を与えました。

2004年には、現会長のジェラルド・デュボアの二男であるピエール・デュボアが、同社のムーブメントを用いた時計ブランド「ピエール・ドゥ・ロッシュ（Pierre Deroche）」を設立しました。ピエール・ドゥ・ロッシュは、デュボア・デプラが長年培ってきた技術とノウハウを活かし、高度な複雑時計を発表しています。トゥールビヨン、ミニッツリピーター、永久カレンダーなど、複雑機構を搭載した時計は、その卓越した技術力と美しいデザインで、世界中の時計愛好家を魅了しています。

デュボア・デプラは、ムーブメントサプライヤーとして、また自社ブランド「ピエール・ドゥ・ロッシュ」を通じて、スイスの時計製造の伝統を守りながら、常に革新的な技術とデザインを追求し続けています。その歴史と実績は、スイス時計産業における重要な遺産として、今後も語り継がれていくことでしょう。

関連リンク:
デュボア・デプラ公式HP
ピエール・ドゥロッシュ公式HP

もう一度検索