デリン・ベタンセス

デリン・ベタンセス：剛腕リリーバーの軌跡

デリン・ベタンセス（Dellin Betances）は、1988年生まれ、ニューヨーク出身の元プロ野球選手です。右投右打の投手として、主にMLBで活躍しました。

生い立ちとプロ入り

ニューヨークでドミニカ共和国からの移民の両親のもとに生まれたベタンセスは、幼い頃から野球に親しみ、ヤンキースタジアムで完全試合を観戦した経験も持っています。高校卒業後、ヴァンダービルト大学への進学が決まっていましたが、2006年のMLBドラフトでニューヨーク・ヤンキースから8巡目で指名を受け、プロの道へ進みました。契約金は8巡目指名としては破格の100万ドルでした。

ヤンキースでの活躍

2009年に右肘を手術しましたが、2010年に復帰。A+級、AA級で好成績を収め、有望株として注目を集めました。2011年にメジャーデビューを果たし、2014年にはリリーフとして才能が開花。前半戦で防御率1.46、84奪三振という驚異的な成績を残し、オールスターゲームに初選出されました。

2014年には、リリーフ投手として球団記録となる130奪三振を達成。新人王投票では3位に入りました。2015年もオールスターに選出され、救援投手として2年連続100奪三振を達成。ジャスティン・ウィルソンと並び、チーム最多の74試合に登板し、防御率1.50、131奪三振という圧倒的な成績を残しました。

2016年は、アロルディス・チャップマン、アンドリュー・ミラーと共に強力なリリーフ陣を形成し、「スリーヘッディッド・モンスター」と呼ばれました。同年もオールスターに選出。シーズン途中には抑えも務め、12セーブを挙げました。2017年にはWBCドミニカ共和国代表にも選出。MLBでは4年連続でオールスターに選出され、8月2日のタイガース戦では三者連続三球三振を記録しました。制球難に苦しむシーズンもありましたが、最終的には防御率2.87、10セーブ、100奪三振を記録しました。

2018年は、フォーム改造に取り組み制球難を改善。アメリカンリーグ史上最長となる44試合連続奪三振を達成するなど、本来の力を取り戻しました。リリーフとしてMLB史上初となる5年連続100奪三振も達成。ポストシーズンでも勝利投手となるなど、重要な場面で活躍しました。

メッツ、ドジャースでの挑戦と引退

2019年は怪我に苦しみ、シーズン終了後にFAとなりました。2020年にはニューヨーク・メッツと契約。2021年もメッツでプレーしましたが、怪我に苦しみ、シーズン終了後にFAとなりました。2022年にはロサンゼルス・ドジャースとマイナー契約を結びましたが、メジャー昇格は叶わず、現役引退を表明しました。

投球スタイルと人物

ベタンセスは、長身から投げ下ろす最速163.9km/hのフォーシームと、スラーブ、ナックルカーブを武器に、多くの三振を奪ってきました。その奪三振率はMLBでもトップクラスであり、ヤンキースのGMからは「エース級の素材」と評されていました。制球力に課題を抱える時期もありましたが、持ち前の修正能力で克服してきました。

愛称は「D・ドォグ」、「エル・アシド」など。親しみやすい人柄で、多くのファンに愛されました。

記録

MLBオールスターゲーム選出：4回（2014年 - 2017年）
5年連続100奪三振（2014 - 2018年）※救援投手として史上初
通算500奪三振：309投球回で達成（2017年）※史上3番目の速さ
Immaculate Inning（3者連続3球三振）：1回（2017年8月2日）

デリン・ベタンセスは、その圧倒的な投球で、多くのファンを魅了した名リリーバーとして、野球史にその名を刻んでいます。

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