デルタ粒子

デルタ粒子（Δ粒子）とは

デルタ粒子（Δ粒子）は、素粒子物理学においてバリオンに分類されるハドロンの一種です。陽子や中性子と同じように、アップクォークとダウンクォークから構成される複合粒子ですが、質量は約1,232 MeV/c²と、核子よりもやや重いのが特徴です。

デルタ粒子の重要な特徴として、全角運動量とアイソスピンが3/2であることが挙げられます。これは、核子の1/2とは対照的です。この性質が、デルタ粒子の挙動や崩壊過程に大きく影響を与えます。

デルタ粒子の崩壊

デルタ粒子は不安定な粒子であり、強い相互作用によって核子（陽子または中性子）とパイ中間子に非常に速やかに崩壊します。崩壊後の粒子の電荷は、アイソスピンの結合によって決定されます。具体的には、以下のような崩壊が起こります。

Δ++ → p + π+
Δ+ → p + π0 または n + π+
Δ0 → n + π0 または p + π-
Δ- → n + π-

ごく稀に、Δ+が陽子と光子に、Δ0が中性子と光子に崩壊することもあります。

デルタ粒子の組成とクォークモデル

デルタ粒子のスピンが3/2であることは、デルタ粒子を構成する3つのクォークが、核子とは異なり、全て同じ方向を向いていることを示唆しています。核子の場合、3つのクォークのうち1つは反対方向を向いています。

このスピンの配置は、アイソスピンの量子数3/2によって特徴づけられます。このアイソスピンの性質が、デルタ粒子をアイソスピン1/2を持つ核子と区別する要因の一つとなっています。

デルタ粒子のファミリーは、電荷が+2, +1, 0, -1の4種類の粒子で構成されます。これらの電荷は、デルタ粒子を構成するアップクォークとダウンクォークの電荷を足し合わせた値に相当します。さらに、これらの粒子に対応する反粒子も存在します。

特に、+2の電荷を持つΔ++粒子の存在は、クォークモデルの発展において非常に重要な役割を果たしました。Δ++の存在は、クォークが分数電荷を持つことを強く支持する証拠となり、クォークモデルが素粒子の構造を理解するための強力な枠組みとなることを示しました。

デルタ粒子のリスト

参考文献

* C.Amsler et al. (2008). “Review of Particle Physics”. Physics Letters B (Particle Data Group) 667 (1): 1. doi:10.1016/j.physletb.2008.07.018.

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