デルフィック

Delphic（デルフィック）

イギリス、マンチェスター出身の3人組バンド、Delphicは、革新的なダンス・ロック・サウンドを追求し、2000年代後半から2010年代にかけて注目を集めました。

結成と音楽性

Delphicは2008年にマンチェスターの地で産声を上げました。中心メンバーは、ボーカルとベースを担当するジェイムス・クック、マルチインストゥルメンタリストのリチャード・ボードマン、そしてギタリストのマット・コックセッジです。彼らが目指したのは、単なるロックでもダンスミュージックでもない、両ジャンルの境界線を曖昧にするような独自のサウンドでした。ハウス、テクノ、エレクトロといったエレクトロニック・ミュージックの要素を大胆に取り入れつつ、ロックバンドとしてのダイナミズムやギターサウンドを融合させた彼らの音楽は、当時としては非常にユニークであり、多くのリスナーや評論家に新鮮な驚きをもって迎えられました。

キャリアの発展と注目

バンドは結成後すぐに精力的なライブ活動を開始します。彼らのエネルギー溢れるパフォーマンスと、ダンスフロアを意識した楽曲は、すぐにメディアの注目を浴びるようになりました。特に、地元のテレビ局が彼らのライブ映像を放送したことが大きな転機となります。この放送を見た多くのレコードレーベルから、バンドへの問い合わせが殺到し、契約に向けた動きが加速しました。

リリースと成功

レーベルとの契約を経て、Delphicは音源リリースを開始します。2009年4月には、R&S Recordsから記念すべきファーストシングル「Counterpoint」をリリース。続いて、ファッションと音楽の融合で知られるフランスのレーベル、Kitsuné（キツネ・ミュージック）からセカンドシングル「This Momentary」を発表します（レーベル名「Kitsuné」は日本語の「キツネ」に由来しています）。2010年1月にはサードシングル「Doubt」をリリースし、これは全英シングルチャートで79位を記録しました。

そして、彼らのキャリアにおける最大のハイライトの一つが、2010年2月にリリースされたデビューアルバム『Acolyte』です。このアルバムは、ダンスミュージック系のバンドとしては異例ともいえる成功を収め、全英アルバムチャートに初登場で8位という快挙を成し遂げました。アルバム収録曲の「Clarion Call」は、人気ゲーム「Saints Row: The Third」にも使用され、幅広い層にその音楽が届けられることとなりました。その後もシングル「Halcyon」（全英143位）、ロンドンオリンピック公式ソングとなった「Good Life」、そして「Baiya」といった楽曲を発表し、2013年にはセカンドアルバム『Collections』をリリース（全英77位）しました。

評価と日本公演

Delphicの革新的なサウンドは、多くの著名なミュージシャンからも高く評価されました。同時代の人気バンドであるブロック・パーティーは、自身のツアーのオープニングアクトとしてDelphicを招き、その才能を認めました。また、ケミカル・ブラザーズのトム・ローランズや、ザ・ストリーツのマイク・スキナーといった、異なるジャンルの第一線で活躍するアーティストたちも、Delphicのファンであることを公言するなど、彼らの音楽が持つ求心力の高さを証明しました。

海を越え、日本でもDelphicは人気を博しました。特に、サマー・ソニック2009への出演を含む、計2度の来日公演を果たしており、日本の音楽ファンにもそのエネルギッシュなライブパフォーマンスを届けました。

ディスコグラフィー

シングル

Counterpoint (2009年)
This Momentary (2009年)
Doubt (2010年) - 全英79位
Halcyon (2010年) - 全英143位
Good Life (2012年) - オリンピック公式シングル
Baiya (2013年)

アルバム

Acolyte (2010年) - 全英8位
Collections (2013年) - 全英77位

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