デル・シャノン

デル・シャノン：時代を駆け抜けた街角のメロディメーカー

デル・シャノン（Del Shannon, 1934年12月30日 - 1990年2月8日）は、アメリカのシンガーソングライターであり、1960年代初頭に自作の楽曲で一世を風靡しました。特にデビュー曲「悲しき街角（Runaway）」は、全米チャートで1位を獲得する大ヒットとなり、彼の名を世界に知らしめました。しかし、その後のキャリアは決して順風満帆とは言えず、長い低迷期を経て、1980年代に再評価の兆しが見えたものの、1990年にうつ病により自ら命を絶つという悲劇的な結末を迎えました。

生い立ちと音楽への目覚め

本名チャールズ・ウィードン・ウェストオーバーとしてミシガン州グランドラピッズで生まれたデル・シャノンは、幼少期をクーパースヴィルで過ごしました。ハンク・ウィリアムズ、ハンク・スノー、レフティ・フリッツェルといったカントリー音楽の巨匠たちから影響を受け、14歳でギターを手にしたことをきっかけに音楽の道を志すようになります。高校時代にはバンドを結成し、地元のナイトクラブなどで演奏活動を開始しました。

軍隊生活とバンド活動

17歳で幼馴染と結婚したデル・シャノンは、1954年に軍隊に入隊し、西ドイツのシュトゥットガルトに駐屯。そこで「クール・フレイムズ」というバンドを結成し、音楽活動を続けました。1958年に除隊後、彼はバトルクリークでカーペットのセールスマンとして働く傍ら、ダグ・ディモットが率いるカントリーロックバンド「Midnight Ramblers」に加入。「The HI-Lo Club」の専属バンドとして演奏する日々を送りました。ディモットの解雇後、彼はバンドのリーダーとなり、芸名をチャーリー・ジョンソン、バンド名をビッグ・リトル・ショー・バンドに改名しました。

デビューと成功、そして苦悩

1959年、元「ホワイトバックス」のメンバーであるオルガニスト、マックス・クルックが加入。クルックが自作したクラヴィオリン「ミュージトロン」を生かした独特のサウンドが、バンドの音楽性を大きく発展させました。クルックの友人であるラジオDJオリー・マクラフリンが、彼らのデモテープをデトロイトの音楽プロデューサー、ハリー・ボークとアーヴィング・ミカニクに送ったことがきっかけで、1960年7月、クルックと共にビッグトップ・レコードと契約。この時、芸名をデル・シャノンに改名しました。芸名の由来は、彼が愛したキャデラック・ドゥビルと、HI-Lo Clubでパフォーマーをしていたプロレスラー、マーク・シャノンのリングネームから取られています。

HI-Lo Club時代からのレパートリーであった『リトル・ランナウェイ』を改題し、1961年2月にソロデビュー曲「悲しき街角（Runaway）」を発売。この曲は瞬く間に全米1位を獲得し、彼の名を一躍有名にしました。その後も、「花咲く街角（Hats Off to Larry）」など、数々のヒット曲を連発し、1960年代前半の音楽シーンを席巻しました。

しかし、ブリティッシュ・インヴェイジョンの影響などにより、1960年代後半からは徐々に人気が低迷。ソロ歌手としては長い低迷時代を迎えることになります。その後は、プロデュース業などにも携わりましたが、目立った成果は得られず、徐々に精神的なバランスを崩し、アルコール依存症に苦しむようになりました。

再評価と悲劇的な結末

リハビリ生活を経て、1970年代後半に音楽活動を再開したデル・シャノンは、1981年にトム・ペティがプロデュースしたアルバム『Drop Down and Get Me』を発売。フィル・フィリップスのカバー「シー・オブ・ラブ」がシングルカットされ、全米33位を記録するなど、再び注目を集めました。1989年頃には、ELOのジェフ・リンのプロデュースでアルバム制作を開始し、トム・ペティも参加するなど、再評価の機運が高まっていました。

しかし、1990年2月8日、デル・シャノンはうつ病のため、自宅で猟銃自殺を遂げました。享年55歳。彼の死は、多くの音楽ファンに衝撃を与え、惜しまれました。遺作アルバム『Rock On!』は、ジェフ・リンとトム・ペティらの手によって完成され、1991年にリリースされました。

デル・シャノンの音楽は、時代を超えて今もなお、多くの人々に愛され続けています。彼のメロディアスな楽曲と、繊細な歌声は、聴く者の心を捉え、忘れられない感動を与えてくれます。

代表曲

悲しき街角（Runaway）
花咲く街角（Hats Off to Larry）
太陽を探せ（Keep Searchin' (We'll Follow the Sun)）
シー・オブ・ラブ（Sea of Love）

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