トム・ペティ

トム・ペティ：アメリカンロックの魂

トム・ペティ（Tom Petty, 1950年10月20日 - 2017年10月2日）は、アメリカ合衆国フロリダ州出身のロックミュージシャン、シンガーソングライターです。1976年からロックバンド「トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ」を率いて活動し、1989年からはソロアーティストとしても活躍。その音楽は、アメリカの魂を揺さぶるものでした。

生涯と音楽性

トム・ペティは、ブルース・スプリングスティーンやボブ・シーガーと並び、アメリカ中西部・南部の白人労働者の心情を代弁するロックシンガーとして知られました。彼の音楽は「ハートランド・ロック」と呼ばれることもあります。ボブ・ディラン、ローリング・ストーンズ、バーズなどからの影響を受け、独自の音楽スタイルを確立しました。

デビュー以来、ライブ活動やアルバムリリースを精力的に続け、晩年もアルバムは全米チャートのトップ10にランクインするなど、その人気は衰えを知りませんでした。1986年にはボブ・ディランと共にツアーを行い、1988年にはボブ・ディラン、ジョージ・ハリスンらとトラヴェリング・ウィルベリーズを結成し、大成功を収めました。

また、トム・ペティは音楽活動だけでなく、テレビアニメ『ザ・シンプソンズ』に本人役で出演したり、『キング・オブ・ザ・ヒル』にラッキー役で準レギュラー出演するなど、幅広い分野で活躍しました。

マッドクラッチからザ・ハートブレイカーズへ

17歳の時、トム・ペティはフロリダ州で「マッドクラッチ」を結成。当初はベースを担当していました。ギターは楽器店の教室で、当時無名だったドン・フェルダーから手ほどきを受けたそうです。マッドクラッチはロサンゼルスに移り、1974年にはシェルター・レコードから契約の話が持ちかけられますが、バンドは解散。ペティはソロアーティストとしてシェルターとの契約を継続しました。

その後、マッドクラッチ時代の盟友であるマイク・キャンベル（ギター）とベンモント・テンチ（キーボード）に、ロン・ブレア（ベース）とスタン・リンチ（ドラムス）を加えた「トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ」として、1976年にデビューアルバム『アメリカン・ガール』を発表しました。

世界的な成功

デビュー当初はアメリカでの人気は低迷しましたが、ニルス・ロフグレンのイギリスツアーでオープニングアクトを務めたことがきっかけで、イギリスで人気が爆発。1977年6月にはデビューアルバムが全英アルバムチャートで24位に達しました。1978年にはアメリカでもデビュー作がBillboard 200で55位を記録し、セカンドアルバム『ユア・ゴナ・ゲット・イット!』は23位にまで上昇しました。

1979年発表のサードアルバム『破壊』は全米2位の大ヒットとなり、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの名を世界に知らしめました。このアルバムは、ローリングストーン誌が選ぶ「歴代最高のアルバム」500選にも選ばれています。

1980年代以降も、数々のヒット作を発表し、アメリカを代表するロックバンドとしての地位を確立しました。また、ソロ活動も積極的に行い、1989年には初のソロアルバム『フル・ムーン・フィーヴァー』を発表。こちらも大ヒットを記録しました。

晩年と死

トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズは、2002年にロックの殿堂入りを果たしました。2017年4月には結成40周年記念ツアーを開始し、9月25日に最終公演を行いましたが、その直後の10月2日、カリフォルニア州マリブの自宅で心肺停止の状態となり、66歳でこの世を去りました。

ファイナル・コンサートで最後に演奏した曲は、デビューアルバムのシングル「アメリカン・ガール」でした。彼の死後、鎮痛剤の過剰摂取が死因であったことが公表されました。

トム・ペティは、その音楽と生き方で、多くの人々に影響を与え続けました。彼の音楽は、これからも時代を超えて愛され続けるでしょう。

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