デヴィッド・ザブリスキー

デヴィッド・ザブリスキー：タイムトライアルの鬼才とその影

デヴィッド・ザブリスキー (David Zabriskie) は、1979年生まれのアメリカ合衆国ソルトレイクシティ出身の自転車ロードレース選手です。特にタイムトライアル（ITT）における圧倒的な強さで知られ、数々の栄光と挫折を経験した、波乱に満ちたキャリアを歩みました。日本メディアでは「デーヴィット・ザブリスキー」と表記されることもあります。

華々しいキャリアの始まりと成功

1999年、セブンアップと契約してプロ転向。その後、USポスタルサービスを経て、2005年にはチームCSCに移籍しました。2004年には全米選手権個人タイムトライアルで優勝、ブエルタ・ア・エスパーニャでは第1ステージのチームタイムトライアル(TTT)と第11ステージで勝利を収め、162kmの単独逃げを成功させるなど、その才能を開花させました。

2005年にはジロ・デ・イタリア第8ステージ(ITT)で勝利。さらに、ツール・ド・フランス第1ステージ(ITT)では、当時最強と謳われたランス・アームストロングを2秒差で破り、マイヨ・ジョーヌ（黄色のリーダーズジャージ）を獲得する快挙を成し遂げました。続く2006年には全米選手権ITTで2度目の優勝、ロードレース世界選手権ITTでは2位と、トップレベルでの活躍を続けました。チームCSC時代には、チームタイムトライアル・アイントホーフェンでも優勝に貢献しています。

2008年にスリップストリーム（現ガーミン・バラクーダ）に移籍後も、全米選手権ITTで3連覇を達成、世界選手権ITTでは3位に入るなど、高いレベルの競争力を維持していました。2009年にはツアー・オブ・カリフォルニアで総合2位に入る活躍を見せましたが、大会期間中に自宅が窃盗被害に遭うという不幸も経験しています。同年、ツアー・オブ・ミズーリでは総合優勝を飾りました。2011年にはツール・ド・ロマンディで区間1勝、2012年にはツアー・オブ・カリフォルニアで総合2位、ツール・ド・フランスでは第6ステージ敢闘賞を受賞するなど、第一線で活躍を続けました。

ドーピング問題と引退

しかし、2012年10月10日、過去にドーピングを行っていたことを告白。全米アンチドーピング機関(USADA)から6ヶ月の出場停止処分と、2003年5月13日から2006年7月31日までの成績剥奪処分を受けました。この告白は、彼の輝かしいキャリアに大きな影を落とすこととなりました。

2013年、ジロ・ディ・ロンバルディアを最後のレースとして引退しました。

まとめ

デヴィッド・ザブリスキーは、タイムトライアルにおける類まれな才能で知られる選手でした。数々の偉業を達成しましたが、ドーピング問題によってそのキャリアに傷がつき、大きな批判を浴びました。彼のストーリーは、スポーツにおける成功と挫折、そして倫理的な問題について深く考えさせられるものです。彼の功績は、彼の個人的な問題とは切り離して評価されるべきでしょう。彼のタイムトライアルにおける才能と、数々のレースで示した卓越した能力は、自転車ロードレースの歴史に大きな足跡を残しました。彼の引退は、多くのファンに惜しまれつつ幕を閉じました。

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