デヴィル・イン・ヒズ・ハート

デヴィル・イン・ヒズ・ハート：ザ・ドネイズとビートルズの軌跡

「デヴィル・イン・ヒズ・ハート」は、1960年代初頭に発表された楽曲で、その後の音楽史に大きな影響を与えました。ザ・ドネイズの楽曲として誕生し、後にビートルズがカバーしたことで広く知られることとなります。本稿では、両バージョンについて、レコーディングからリリースに至る詳細な経緯を紐解きます。

ザ・ドネイズ：オリジナル・バージョン

ザ・ドネイズは、コレクトーン・レコードで「デヴィル・イン・ヒズ・ハート」を録音しました。その後、ニューヨークのレコード会社が楽曲の権利を取得し、1962年8月、シングル「バッド・ボーイズ」のB面としてリリースされました。しかし、残念ながら両曲ともチャート入りを果たすことはなく、シングルリリース後、ザ・ドネイズは解散しています。彼らの演奏は、1993年に発売されたコンピレーション・アルバム『Kiss 'n' Tell: 30 Works of Heart』で聴くことができます。

ビートルズ：カバー・バージョンとレコーディング

ビートルズのマネージャー、ブライアン・エプスタインは、NEMSレコード・ショップでザ・ドネイズのシングルを見つけたことがきっかけで、「デヴィル・イン・ヒズ・ハート」に注目します。ビートルズは、この楽曲を気に入りレコーディングすることを決定。リード・ボーカルはジョージ・ハリスンが担当し、歌詞とタイトルは「デヴィル・イン・ハー・ハート」へと変更されました。

レコーディングは1963年7月18日、EMIレコーディング・スタジオのスタジオ2で行われました。ベーシック・トラックは3テイク録音され、その後、ハリスンのボーカルのダブルトラッキングやマラカスのパート追加など、3度にわたるオーバーダビングが行われました。モノラル・ミックスは8月21日、ステレオ・ミックスは10月29日に完成。

1963年11月22日、イギリスでは2作目の公式オリジナル・アルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』に収録されて発売され、アメリカでは『ザ・ビートルズ・セカンド・アルバム』に収録されてリリースされました。

さらに、BBCセッションでの演奏は1995年発売のマキシシングル『ベイビー・イッツ・ユー』に、1963年9月25日放送の『Pop Go The Beatles』での演奏は2013年発売の『オン・エア〜ライヴ・アット・ザ・BBC Vol.2』にそれぞれ収録されています。

クレジット

ビートルズ

ジョージ・ハリスン：ボーカル、リードギター
ジョン・レノン：バッキング・ボーカル、リズムギター
ポール・マッカートニー：バッキング・ボーカル、ベース
リンゴ・スター：ドラムス、マラカス

スタッフ

ジョージ・マーティン：プロデューサー
ノーマン・スミス：サウンドエンジニア
* リチャード・ラングハム、ジェフ・エメリック、B.T.（フルネーム不明）：アシスタント・エンジニア

結論

「デヴィル・イン・ヒズ・ハート」は、ザ・ドネイズの楽曲として誕生し、ビートルズによって新たな命を吹き込まれた、音楽史において重要な楽曲です。オリジナルとカバー、それぞれのバージョンを通して、1960年代の音楽シーンを垣間見ることができます。両バージョンとも、その時代背景や音楽性を知る上で貴重な資料となっています。オリジナル版が持つ素朴な魅力と、ビートルズ版の洗練されたサウンドを比較検討することで、楽曲の奥深さをより一層楽しむことができるでしょう。

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