デ・トマソ・505/38

デ・トマソ・505/38は、イタリアの自動車メーカー、デ・トマソが製造したフォーミュラ1マシンとして、1970年のF1世界選手権でフランク・ウィリアムズ・レーシングカーズによって投入されました。著名なデザイナー、ジャンパオロ・ダラーラの手によるこのマシンは、しかしながら、その競争力の低さから、期待を大きく下回る結果に終わりました。

デビューシーズンとなった1970年は、まさに苦戦の連続でした。最初の数戦では、機械的なトラブルやアクシデントにより、完走を果たすことができず、リタイアが相次ぎました。特にオランダグランプリでの出来事は、チーム、そしてF1界全体に衝撃を与えました。ドライバーのピアス・カレッジが激しいクラッシュに見舞われ、車両は炎上、カレッジは残念ながら命を落とすという、痛ましい事故が発生したのです。この事故は、フランク・ウィリアムズ率いるチームに深い傷跡を残し、現在まで続くウィリアムズチームのドライバーとの関係性にも影響を与えたとされています。

505/38は、シーズンを通して一度も完走を果たしたことはありませんでした。公式記録上、フィニッシュしたのはモナコグランプリとカナダグランプリの2回のみで、いずれも優勝者から大きく周回遅れとなる、厳しい結果に終わっています。モナコでは11周、カナダでは12周遅れという記録は、マシンの性能がいかに低かったかを如実に物語っています。

このマシンの失敗は、様々な要因が複雑に絡み合っていたと考えられます。設計上の欠陥、信頼性の不足、あるいはチームの経験不足など、複数の問題点が重なった結果、競争力の低いマシンとなってしまったのでしょう。1970年シーズンのデ・トマソ・505/38は、勝利を掴むどころか、完走すら困難なマシンだったと言えるでしょう。その結果、F1の歴史に、成功とは程遠い、暗い一ページを刻むこととなりました。カレッジ選手の事故は、F1における安全性の重要性を再認識させる、大きな悲劇となりました。この事故以降、チームオーナーであるフランク・ウィリアムズは、ドライバーとの距離を置くようになったと言われています。これは、事故のショックと、ドライバーへの責任感の重さを反映していると考えられます。デ・トマソ・505/38は、その性能や結果だけでなく、F1の歴史において忘れられない、痛ましい出来事と共に記憶されるマシンとなりました。

以下は、参考資料として、F1におけるデ・トマソ505/38の全成績と、ノンタイトル戦における成績を記載する予定でしたが、情報が不足しているため割愛させていただきます。 今後の調査により、詳細な成績表を追加することができれば幸いです。

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